サ行
サイトカイン (cytokine)
免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達をするものをいう。多くの種類があるが特に免疫、炎症に関係したものが多い。
また細胞の増殖、分化、細胞死、あるいは創傷治癒などに関係するものがある。
ホルモンと似ているが、ホルモンは分泌する臓器があり、比較的低分子のペプチドが多い(しかし、サイトカインとホルモンは、はっきりとした区別があるものではなく、エリスロポエチン (erythropoietin) やレプチン (leptin) など両方に分類されることがある)。
また、リンパ球に由来するサイトカインを、リンフォカイン (lymphokine) ということが多い。
一部は医薬品として用いられている。
サイトカインの種類
サイトカインは体内には約800種類存在すると言われており、今も発見が続いています。
主にインターロイキン類、インターフェロン類、ケモカイン、造血因子、細胞増殖因子、腫瘍壊死因子に分類できます。
○インターロイキン類
インターロイキンは主に体内の異物と戦う白血球の一種であるリンパ球やマクロファージ、好中球などの貪食細胞(異物を食べるはたらきがある免疫細胞)からIL-1、IL-4、IL-10などが多く分泌されます。
これらのインターロイキンは、免疫細胞の分化・増殖や活性化、免疫反応の沈静化や細胞死に作用し、免疫バランスを調節する役割を担っています。
○インターフェロン類
インターフェロンはウイルスに感染した細胞などを攻撃するNK細胞(リンパ球の一種)や、マクロファージを活性化させ、ウイルスや腫瘍細胞の増殖を抑制する働きがあります。
抗ウイルス薬や抗がん剤としても国の承認を受けており、多発性骨髄腫(白血病の一種)、脳腫瘍、腎がんの治療に使用されています。
○ケモカイン
ケモカインは50種類以上存在し、炎症部で多く生産され、白血球などの免疫細胞を炎症部位に移動させる「走化作用」を持っています。
○造血因子(コロニー刺激因子)
造血因子には顆粒球コロニー刺激因子であるG-CSFやエリスロポエチン(EPO)があり、血球(赤血球・白血球・血小板)や免疫細胞の分化・増殖を促進します。
○腫瘍壊死因子
腫瘍壊死因子は主にマクロファージから生産され、腫瘍細胞の細胞死(アポトーシス)や炎症反応の誘導をおこないます。
αとβがあり、特にTNF-αは代表的な炎症性サイトカインとして知られています。
○細胞増殖因子
細胞増殖因子は成長因子とも呼ばれています。
成長因子には、肌の正常なターンオーバーを促す上皮成長因子(EGF)や、肌のコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの成分を生成する線維芽細胞成長因子(FGF)、組織の分化や発達を促す腫瘍増殖因子(TGF-β)などがあります。
これらの増殖因子は、血球以外の特定の細胞の増殖・分化を促進するだけでなく、美容や育毛に効果的な成分として使用されることもあります。
細胞間シグナル分子例
細胞間同士の増殖制御
器官や臓器の大きさはどのように制御されているのだろうか。
その答えの一つは細胞増殖のコントロールにある。
細胞周期を調節する因子に変異が生じると、通常より臓器や体が大きくなる例が知られている。
培養細胞では細胞増殖の接触阻止という現象が知られており、正常な細胞は高密度になって互いに接触すると増殖が抑制される。
一方で、癌化した細胞は無秩序に増殖し、腫瘍形成を招く。
このように、細胞間の接触による細胞増殖の制御は、発生に極めて重要な意味をもつが、その仕組みは十分には分かっていない。
理化学研究所CDBの大田光徳研究員と佐々木洋チームリーダー(胚誘導研究チーム)はマウスをモデルにした研究で、
TeadおよびYap1と呼ばれるタンパク質が細胞増殖の接触阻止を制御していることを明らかにした。
TeadはYap1とともに転写因子として細胞増殖を促すが、ショウジョウバエで発見された癌抑制シグナル経路である
Hippoシグナルの制御下にあるという。
この研究成果は、2008年11月21日付けでDevelopment誌にオンライン先行発表された。
ショウジョウバエでは、Yap1に相当する遺伝子がHippoシグナルの制御下にあることが知られている。
そこで大田研究員は、Hippoシグナルの構成因子であるMst2およびLats2の過剰発現を行った。
すると、いずれの場合もTeadの転写活性が低下した。
これらの結果は、細胞密度、すなわち
細胞間接触の情報がHippo経路を介して細胞内に伝わり、Teadの転写活性を調節することで細胞増殖を制御していることを示唆していた。
さらに彼らは、Yap1や活性型のTead(Tead2-VP16)を発現させてTeadの活性を上昇させると、実際に
細胞の増殖が促進し、細胞死が抑制されること、さらに腫瘍が形成されることを確認した。
これらの結果はいずれも、TeadがYap1とともに細胞増殖の接触阻止を制御していることを支持していた。
次に、Yap1やTeadに制御されている遺伝子を明らかにするためにマイクロアレイ解析を行った。すると、高密度の培養で抑制される遺伝子セットと、Yap1あるいは活性型のTead2により活性化される遺伝子セットは大きく重複していることがわかった。
すなわちYap1とTead2は同じ遺伝子群を活性化して、細胞増殖を調節していることが示された。
しかし、in vivoでは少し状況が異なっていた。Tead1とTead2、あるいはYap1をそれぞれホモ欠損する胚においては、培養細胞の研究で明らかにされたTead/Yap1の標的遺伝子のうち、一部のものしか発現低下がみられなかったのだ。
これは、TeadやYap1が細胞の種類や状態によって、異なる遺伝子を制御していることを示唆していた。
また、Tead1とYap1の胚おける発現を調べたところ、胎生8.5日から10.5日の胚において、Tead1はすべての細胞で核に局在するが、心筋細胞や脊索で特に強いシグナルが見られた。
Yap1も広く発現しているが、脊索や筋節に強く発現し、特に心筋細胞ではTead1と共に核に局在していた。
これらの結果は、
胚の中では、細胞の種類や状態によってHippoシグナルの強さが異なることを示唆していた。
Tead1とYap1の発現パターンから、心筋細胞ではHippoシグナルが非常に弱く、TeadとYap1が細胞増殖を促進していると考えられた。
実際に、Tead1欠損マウスでは心筋細胞の増殖が大きく低下していることが確認された。
これらの研究から、TeadはYap1依存的に転写因子として機能し、Hippoシグナルの制御下で細胞増殖を調節していることが明らかになった。
佐々木チームリーダーは、「ショウジョウバエの研究で、Hippoシグナルが臓器の大きさを制御していることが示されていました。
今回の研究は、哺乳類においてもHippoシグナルが細胞増殖に関わることや、そこにTeadが寄与する仕組みを明らかにできたと思います」とコメントし、今後の展開について次のように話した。
「私たちは、別の研究から、Teadはマウスの発生において増殖制御以外の機能も担っていることを明らかにしつつあります。
今後は、細胞間接触の情報とHippoシグナルが、哺乳類の発生でどのような働きをしているのかを明らかにしていきたいと思います」。
細胞内シグナル伝達分子リスト
アミノ酸・ペプチド・タンパク質 Amino Acids, Peptides, and Proteins
ペプチド Peptide
細胞内情報伝達タンパク質 Intracellular Signaling Peptides and Proteins
3',5'-サイクリックAMPホスホジエステラーゼ
3',5'-Cyclic-AMP Phosphodiesterase +
3',5'-サイクリックGMPホスホジエステラーゼ
3',5'-Cyclic-GMP Phosphodiesterase +
活性化転写因子6 Activating Transcription Factor 6
情報伝達アダプタータンパク質 Signal Transducing Adaptor Proteins +
アデニル酸シクラーゼ Adenylate Cyclase
AMP活性化タンパク質キナーゼ AMP-Activated Protein Kinase
アポトーシス調節タンパク質 Apoptosis Regulatory Protein +
カルシニューリン Calcineurin
カルシウム・カルモジュリン依存性キナーゼ
Calcium-Calmodulin-Dependent Protein Kinase +
カゼインキナーゼ Casein Kinase +
環状ヌクレオチド依存性キナーゼ
Cyclic Nucleotide-Regulated Protein Kinase +
サイクリン依存性キナーゼ阻害因子
Cyclin-Dependent Kinase Inhibitor Protein +
サイクリン依存性キナーゼ Cyclin-Dependent Kinase +
サイクリン Cyclin +
二重特異性ホスファターゼ Dual-Specificity Phosphatase +
eIF-2キナーゼ eIF-2 Kinase
接着斑キナーゼ Focal Adhesion Protein-Tyrosine Kinase
Gタンパク質共役受容体キナーゼ G-Protein-Coupled Receptor Kinase +
グリコーゲン合成酵素キナーゼ Glycogen Synthase Kinase +
GTP結合タンパク質制御因子 GTP-Binding Protein Regulator +
グアニル酸シクラーゼ Guanylate Cyclase
ヘテロ三量体GTP結合タンパク質 Heterotrimeric GTP-Binding Protein +
IκBキナーゼ I-kappa B Kinase
IκBタンパク質 I-kappa B Protein
インターロイキン1受容体関連キナーゼ
Interleukin-1 Receptor-Associated Kinase
細胞内カルシウム感受性タンパク質
Intracellular Calcium-Sensing Protein +
LIMキナーゼ Lim Kinase
MAPキナーゼキナーゼキナーゼ MAP Kinase Kinase Kinase +
MAPキナーゼキナーゼ Mitogen-Activated Protein Kinase Kinase +
MAPキナーゼホスファターゼ
Mitogen-Activated Protein Kinase Phosphatase +
MAPキナーゼ Mitogen-Activated Protein Kinase +
単量体GTP結合タンパク質 Monomeric GTP-Binding Protein +
ムチン-4 Mucin-4
嗅覚標識タンパク質 Olfactory Marker Protein
p21活性化キナーゼ p21-Activated Kinase
ホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質
Phosphatidylethanolamine Binding Protein
イノシトールリン脂質ホスホリパーゼC Phosphoinositide Phospholipase C +
ホスホリパーゼCγ Phospholipase C gamma
プロテインホスファターゼ2 Protein Phosphatase 2
非受容体型チロシンホスファターゼ
Non-Receptor Protein Tyrosine Phosphatase +
受容体様チロシンホスファターゼ
Receptor-Like Protein Tyrosine Phosphatase +
Rho結合キナーゼ Rho-Associated Kinase
リボソームS6キナーゼ Ribosomal Protein S6 Kinase +
SH2ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼ
SH2 Domain-Containing Protein Tyrosine Phosphatase +
アミノ酸・ペプチド・タンパク質 Amino Acids, Peptides, and Proteins
タンパク質 Protein
細胞内情報伝達タンパク質 Intracellular Signaling Peptides and Proteins
3',5'-サイクリックAMPホスホジエステラーゼ
3',5'-Cyclic-AMP Phosphodiesterase +
3',5'-サイクリックGMPホスホジエステラーゼ
3',5'-Cyclic-GMP Phosphodiesterase +
活性化転写因子6 Activating Transcription Factor 6
情報伝達アダプタータンパク質Signal Transducing Adaptor Proteins +
アデニル酸シクラーゼ Adenylate Cyclase
AMP活性化タンパク質キナーゼ AMP-Activated Protein Kinase
アポトーシス調節タンパク質 Apoptosis Regulatory Protein +
カルシニューリン Calcineurin
カルシウム・カルモジュリン依存性キナーゼ
Calcium-Calmodulin-Dependent Protein Kinase +
カゼインキナーゼ Casein Kinase +
環状ヌクレオチド依存性キナーゼ
Cyclic Nucleotide-Regulated Protein Kinase +
サイクリン依存性キナーゼ阻害因子
Cyclin-Dependent Kinase Inhibitor Protein +
サイクリン依存性キナーゼ Cyclin-Dependent Kinase +
サイクリン Cyclin +
二重特異性ホスファターゼ Dual-Specificity Phosphatase +
eIF-2キナーゼ eIF-2 Kinase
接着斑キナーゼ Focal Adhesion Protein-Tyrosine Kinase
Gタンパク質共役受容体キナーゼ G-Protein-Coupled Receptor Kinase +
グリコーゲン合成酵素キナーゼ Glycogen Synthase Kinase +
GTP結合タンパク質制御因子 GTP-Binding Protein Regulator +
グアニル酸シクラーゼ Guanylate Cyclase
ヘテロ三量体GTP結合タンパク質 Heterotrimeric GTP-Binding Protein +
IκBキナーゼ I-kappa B Kinase
IκBタンパク質 I-kappa B Protein
インターロイキン1受容体関連キナーゼ
Interleukin-1 Receptor-Associated Kinase
細胞内カルシウム感受性タンパク質
Intracellular Calcium-Sensing Protein +
ヤヌスキナーゼ Janus Kinase +
LIMキナーゼ Lim Kinase
MAPキナーゼキナーゼキナーゼ MAP Kinase Kinase Kinase +
MAPキナーゼキナーゼ Mitogen-Activated Protein Kinase Kinase +
MAPキナーゼホスファターゼ
Mitogen-Activated Protein Kinase Phosphatase +
MAPキナーゼ Mitogen-Activated Protein Kinase +
単量体GTP結合タンパク質 Monomeric GTP-Binding Protein +
ムチン-4 Mucin-4
嗅覚標識タンパク質 Olfactory Marker Protein
p21活性化キナーゼ p21-Activated Kinase
ホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質
Phosphatidylethanolamine Binding Protein
イノシトールリン脂質ホスホリパーゼC Phosphoinositide PhospholipaseC +
ホスホリパーゼCγ Phospholipase C gamma
プロテインホスファターゼ2 Protein Phosphatase 2
非受容体型チロシンホスファターゼ
Non-Receptor Protein Tyrosine Phosphatase +
癌原遺伝子産物c-Akt Proto-Oncogene Protein c-Akt
癌原遺伝子産物c-Fyn Proto-Oncogene Protein c-Fyn
PTENホスファターゼ PTEN phosphatase
受容体様チロシンホスファターゼ
Receptor-Like Protein Tyrosine Phosphatase +
Rho結合キナーゼ Rho-Associated Kinase
リボソームS6キナーゼ Ribosomal Protein S6 Kinase +
SH2ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼ
SH2 Domain-Containing Protein Tyrosine Phosphatase +
サーチュイン Sirtuin +
ZAP-70チロシンキナーゼ ZAP-70 Protein-Tyrosine Kinase
細網細胞(CAR細胞)ニッチ
近年の研究ではCAR細胞が造血幹細胞や造血前駆細胞の維持に大きく関わっていることが判明している。
骨髄の洞様毛細血管のほとんどはCAR細胞によって取り囲まれている。
CAR細胞は突起を伸ばし、造血幹細胞の大半はその突起に接着している。
造血幹細胞はCXCR4レセプターでサイトカインCXCL12を受け取り、CXCL12は造血幹細胞の維持に必須の分子であることが明らかになっている。
CAR細胞はCXCL12を高発現しており、またCAR細胞欠損マウスの研究からCAR細胞は造血幹細胞の増殖に関わるSCFの産出の主体でもあることが示唆されている。
造血幹細胞が存在する洞様毛細血管を取り囲んで造血幹細胞に接着し、造血幹細胞の維持や増殖に関わる分子を産出しているCAR細胞が造血幹細胞ニッチの主たる構成細胞である可能性が強く示唆されている。
しかしながら、CAR細胞に比べて造血幹細胞の数ははるかに少なく、造血幹細胞の維持している機構はいまだ不明である。
細網繊維(レチクリン)
Ⅲ型コラーゲンで構成される結合組織の線維の種類を記述するために使用されている組織学用語である。
細網線維は、網状の繊維が細かい網(レチクリン)を形成するために架橋している。
この網目は、肝臓、骨髄などの軟組織の支持網やリンパ系の組織や臓器として機能する。
シアリルSSEA-1抗原(sialyl SSEA-1 antigen)
シアリルSSEA-1抗原は癌胎児性の糖鎖抗原であり、血液型物質の一種でもあります。
血中シアリルSSEA-1抗原は
肺癌、卵巣癌、膵臓癌をはじめとする各種の腺癌で高値を示す、特異性の高い腫瘍マーカーです。
システイン残基
システイン (cysteine) はアミノ酸の1つで、2-アミノ-3-スルファニルプロピオン酸のこと。
側鎖にチオール基を持つ。チオセリンとも言う。
親水性アミノ酸、中性極性側鎖アミノ酸に分類される。含硫アミノ酸。蛋白質構成アミノ酸のひとつで、非必須アミノ酸。糖原性を持つ。
少量ではあるが大部分の蛋白質にみられる。
誘導体である N-アセチル-L-システイン (NAC)(N-acetylcysteine)は一般的なサプリメントであり、抗酸化剤のグルタチオンへと代謝される。
システインの名はシスチンから付けられたが、これはギリシャ語で膀胱を意味する kustis に由来する。シスチンは腎臓結石から最初に単離された。
赤唐辛子、ニンニク、タマネギ、ブロッコリー、芽キャベツ、オート麦、小麦胚芽に含まれる。体内ではメチオニンから作り出される。
残基:合成物質の化学構造において生成する化学結合の構造以外の部分構造を指し示す化学概念や化学用語である。
一般には残基という用語は単独で使用されることは少なく、高分子化合物のように一定の化学結合により単量体が連結している場合に、置換基の呼称の後に「~残基」と組み合わせることで部分構造を指し示すために使用される。
また概念を示す明確なルールに基づいて区部されるわけではないため、残基部分の境界は曖昧であり、使用される文脈に強く依存する。
残基に相対する化学結合は単結合など(bond)ではなく、化学反応で生成する官能基による結合、たとえばエステル結合、ペプチド結合、グリコシド結合などである。したがって高分子の構造は化学結合部分と残基部分とから構成されることになる
シャペロン (chaperone)
他のタンパク質分子が正しい折りたたみ(フォールディング)をして機能を獲得するのを助けるタンパク質の総称である。
分子シャペロン (Molecular chaperone) 、タンパク質シャペロンともいう。
多くのシャペロンは熱ショックタンパク質 (Heat shock protein:Hsp)、つまり温度が上昇したときに発現されるタンパク質である。
これは、タンパク質のフォールディングが熱によって重大な影響(変性)を受けた場合に、そのタンパク質の折りたたみを制御する。
ほとんどのタンパク質はシャペロンなしでも折りたたまれるが、一部にはシャペロンを必須とするものもある。
大部分のシャペロンは正常に機能するためにATPのエネルギーを要するが、シャペロンには様々なものがあり、詳細な機能については不明の部分が多い。
タンパク質は正常な状態では分子の外側に露出しているアミノ酸残基のほとんどが親水性であるが、フォールディングのほどけた(アンフォールディング)、あるいは異常なフォールディングをしたタンパク質では疎水性アミノ酸残基が露出している。
シャペロンはこれらの疎水性アミノ酸残基によってそのタンパク質を認識する。
このようなタンパク質は凝集する傾向があり、凝集したタンパク質は細胞にとって非常に有害である(例としてはアルツハイマー病の原因となるβアミロイドタンパク質や、プリオンタンパク質など)が、シャペロンはこのような凝集も防ぎ、細胞を守る働きがある。
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
MHCに反応するのはT細胞
T細胞は、対面している相手の細胞のMHCを見て、MHCのカタチが同じだったらT細胞は反応しません。
少し違ったものだったら(仲間でなかったら)反応を開始するのです。
主要組織適合抗原の説明図
消化管免疫
消化管は口腔~咽頭~食道~胃~小腸(十二指腸~空腸~回腸)~大腸(盲腸~結腸~直腸)~肛門という数種類の器官からなる全長約9mの屈曲した1本の管で、体内にありながら“内なる外”を形成しています。
その消化管の中で、小腸から大腸にかけての消化管粘膜は、400㎡に及ぶ非常に広い表面積を有し、粘膜表面には微絨毛が形成されて栄養物を吸収する表面積が拡大しました。
その結果必然的に莫大な量と種類の食物中の抗原や、腸内細菌などの微生物、消化酵素、酸やアルカリなどからの侵襲を受けることになります。
しかし消化管粘膜はそれに対応するための特有なバリア機能を進化の過程で獲得してきました。
自己と非自己を識別し、常に腸内の状況を監視し、増えすぎた細菌を体外へ排泄したり、腸粘膜を潜って体内に侵入しようとする細菌を排除して私たちの生体を感染防御最前線で護るのが粘膜免疫と言われるもので、それが消化管免疫システムといわれるものです。
粘膜表面の絨毛の間に見えているのが濾胞上皮で、濾胞上皮を構成する個々の上皮細胞にも微絨毛があります。
しかし詳しく観察すると、微絨毛がない上皮細胞が所々にあります。
これが、“M細胞microfold cell”です。
M細胞は、腸管免疫において非常に重要な役割を持っています。
生物は、体内に侵入してきた細菌などの異物を排除する免疫システムを持っています。
この免疫システムを担うT細胞、B細胞、樹状細胞などの“免疫細胞”は、胸腺や骨髄でつくられています。
T細胞とB細胞はリンパ節や脾臓へと運ばれて待機し、樹状細胞は全身に散らばってパトロールをしています。
樹状細胞は異物(抗原)を見つけると、細胞内に取り込んで分解し、その抗原情報をT細胞に提示します。
T細胞は、B細胞に抗原情報を伝え、抗体をつくるように指令し、B細胞はIgG(免疫グロブリンG)などの抗体をつくって異物を攻撃します。
このように働く免疫システムを“全身免疫系”と呼んでいます。
ところが免疫細胞の60~70%は、全身免疫をつかさどっているリンパ節や脾臓ではなく、腸に存在しているのです。
腸には、腸内常在菌がたくさんすみ着いていますが、さらに、食物と一緒に外界から細菌などの異物がたくさん入ってきます。
それらの細菌から体を守るため、腸には免疫細胞が集まったパイエル板に代表される“消化管関連免疫組織”があり、消化管免疫をつかさどっているのです。
パイエル版
パイエル板は、消化管免疫系の一端を担い、腸管の内面を覆う上皮細胞の直下に位置するリンパ小節の集合体です
小胞体(粗面小胞体・滑面小胞体)
外観から名付けられた主に二種類の小胞体があり、一つは粗面小胞体と呼ばれ、もう一つは表面にリボソームのない滑面小胞体です。
小胞体は多くの細胞機能に関わっています。
粗面小胞体では、ゴルジ体やリソソーム、小胞体、細胞膜等を構成するタンパク質および、分泌タンパク質が合成されます。
合成されたタンパク質の折りたたみや切断、ジスルフィド結合、糖鎖の付加等が、小胞体膜表面や内腔で行わています。
リボソームで合成されたタンパク質は、小胞体膜の膜貫通タンパク質であるトランスロコン(透過装置)から小胞体内に輸送されます。
小胞体内では、生成されたタンパク質が糖鎖付加、ジスルフィド結合の形成等を通じて、正しい高次構造を形成できるようにします。
正しい高次構造を形成できないタンパク質は、分子シャペロンがその凝集体形成を阻止し高次構造形成を促進します。
最終的に正しい高次構造を形成できなかった異常タンパク質は、トランスロコンを通じて小胞体外へ出され、ユビキチン-プロテアソーム分解系によって分解されます。
合成されたタンパク質は小胞体から出芽する輸送小胞によって他の細胞小器官や細胞膜へと輸送され、ゴルジ体を経由する系が主要な物とされます。
脂質は、滑面小体で合成されます。
また、小胞体には、シトクロムやシトクロムP450等が局在し、これらの酵素が様々な物質の代謝を行っています。
小胞体は、カルシウム貯蔵器官であり、IP3受容体など細胞内シグナル伝達に関わるタンパク質が局在し、カルシウム結合タンパク質等とともにシグナルに応じたカルシウムの放出を行っています。
小胞体ストレス:小胞体は核、ゴルジ体などと同じ細胞小器官の一つで“分泌タンパク質と膜タンパク質の加工工場”と呼ばれています。
小胞体の中に異常なタンパク質が蓄積すると機能障害を起こします。
これが“小胞体ストレス”です。
小胞体ストレスが解消されないと細胞は死んでしまいます。
小胞体ストレスは、いつ、どこで発生するのか?
細胞はどのように小胞体ストレスを回避するのか?
これらは謎に包まれています。
最近の研究で、、アルツハイマー病や糖尿病、
がんなど、さまざまな疾患の発症に小胞体ストレスが関連していることが次々と分かってきました。
上皮腫(carcinoma)
上皮細胞由来の悪性腫瘍で、いわゆる癌(がん、cancer)の大半を占める。
上皮細胞は体の表面を覆う「表皮」、管腔臓器の粘膜を構成する「上皮」、外分泌腺を構成する「腺房細胞」や内分泌腺を構成する「腺細胞」などを総称した細胞で、これら以外に肝細胞や尿細管上皮など分泌や吸収機能を担う実質臓器の細胞も上皮に含められる。
食細胞
生体内で組織間隙を遊走し、食作用をもつ細胞の総称で、細胞性免疫を担い、外来の微生物などの異物を呑み込み、破壊する。
食細胞には主なカテゴリーが3つある。
マクロファージ(大食細胞)および単球
好中球
樹状細胞(ランゲルハンス細胞)
貪食細胞は、広義には食細胞を意味するが、狭義にはマクロファージを意味する。
機能
食細胞は病原体を食するので感染に対する免疫系による最初の応答に用いられるのはきわめて有用なことである。
この細胞は多くのリソソームを含んでおり外来物の消化を可能にしている。
この細胞は病原体、沈着物、死んだか死につつある細胞、細胞外基質を呑み込む。
ファーゴサイトに呑み込んだ後、消化酵素(タンパク質分解酵素)および酸素ラジカルを満たしたリソソームがファーゴソームに融合してファーゴリソソームを形成し、その中の物質を消化する。
皮膚が破壊されると、損傷部位に最初に到着する食細胞は好中球である。
この細胞は細菌に対して細胞毒性のある顆粒を放出したり貪食して戦う。食作用は創傷治癒プロセスで活動性があるものの一つである。
病原体の貪食機能において、特別の抗原提示細胞(B細胞、樹状細胞、マクロファージ)は細胞表面に、消化の結果得られた小さなペプチドをMHCクラスⅡ分子に結合させて提示する。
ヘルパーT細胞(CD4+)がその後これら抗原を認識し、これは第2シグナルとして補助的に働き、細胞性免疫反応を補う。
食細胞は正常細胞と腫瘍細胞のアポトーシスも誘導することができる。
また陽イオンタンパク質、補体因子および凝固因子、アラキドン酸代謝物、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、サイトカイン、タンパク分解酵素、加水分解酵素、活性酸素および窒素中間体などを産生する。
ショック
ショックまたは循環性(じゅんかんせい)ショックとは主に、
血圧が下がって、死にそうになること。
生命の危険がある状態のひとつ。
医学用語としての「ショック」は、単にびっくりした状態、急に衝撃を受けた状態、という意味ではない。
より正確には、
身体の組織循環が細胞の代謝要求を満たさない程度にまで低下することを特徴とする、重度かつ生命の危機を伴う病態のこと。
原因は血圧とは限らない。血液は酸素や栄養素を全身に輸送しているが、血流低下によりそれが妨げられ、全身組織の機能不全を呈することになる。
日本語では末梢循環不全あるいは末梢循環障害といい、重要臓器の血流(特に微小循環)が障害されて起こる、急性の疾患群の事を指す。
細胞障害を生じるため、末梢血管の虚脱、静脈還流量の減少、心拍出量の低下、組織循環能力の低下等の循環機能障害を見る。
ストレス度
ストレスとは、ストレッサーという外部からの刺激を受けて、生体に起こる反応を「ストレス」といいます。人によって日々の生活リズムは異なり、ストレスに対する反応も受け方も違ってきますが、不規則な生活、過剰労働、無理をすると、疲労がたまりストレスを蓄積させてしまいます。
その結果、ストレスによってうつ病や神経症などの精神・神経の異常、自律神経失調症、不眠、不整脈、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、高血圧、動脈硬化、月経異常、などを引き起こしてしまいます。また、免疫力も低下するので、がんの発生にも影響を与えます。
アメリカ ワシントン医科大学のホームズ博士とレイ博士は人生の出来事からストレスの尺度を作りました。
過去一年間に自分の経験した事項を選び点数を合計します。合計点数が300点以上の方の80%は近いうちに健康被害が生じる可能性があります。
ホームズ博士によるストレス度 |
出来事 | ストレス度 | 出来事 | ストレス度 |
配偶者の死 | 100 | 夫婦喧嘩 | 35 |
離婚 | 73 | 多額の借金 | 31 |
配偶者との離婚 | 65 | 職場での責任の変化 | 29 |
拘禁 | 63 | 子供の独立 | 29 |
近親者の死 | 63 | 親族間のトラブル | 29 |
怪我、病気 | 53 | 配偶者の退職 | 26 |
結婚 | 50 | 入学・卒業 | 26 |
失業 | 47 | 生活の変化 | 25 |
離婚調停 | 45 | 環境の変化 | 24 |
退職 | 45 | 上司とのトラブル | 23 |
親近者の病気 | 44 | 労働条件の変化 | 20 |
妊娠 | 40 | 引越し・転校 | 20 |
性的な障害 | 39 | 小額の借金 | 17 |
家族数の増加 | 39 | 睡眠の変化 | 16 |
仕事の変化 | 39 | 食生活の変化 | 15 |
経済状態の変化 | 38 | 休暇 | 13 |
親しい友人の死 | 37 | クリスマス | 12 |
転職・配置転換 | 36 | 軽い法律違 | 11 |
スプライシング
DNAの遺伝情報がmRNAに転写される際に余分なものを切り離して再度つなぎ合わされること。
真核生物のDNA上の遺伝情報はアミノ酸配列を指定する暗号部分(エキソンもしくはエクソン)の間に何カ所か意味のない配列(イントロン)が介在していることが多い。
DNAの情報はまずイントロンを含んだままmRNA前駆体に転写された後、イントロンを酵素的に切り離してエキソンのみをつなぎ合わせたmRNAができるが、この過程をスプライシングと呼ぶ。
この機構によって抗体グロブリン分子の多様性が初めて分子生物学的に説明された。
成体幹細胞(英: Adult stem cell)
成体幹細胞は、生物の体内に見られる未分化の細胞で、細胞分裂によって増殖して死んだ細胞を補充し、損傷した組織を再生される機能をもつものである。
体性幹細胞(英: somatic stem cells)とも呼ばれる。
幼体だけでなく、成体の体内にも見られる。
成体幹細胞は、無制限に分裂すなわち自己複製を行い、由来となる臓器に含まれるあらゆる種類の細胞を生み出し、潜在的には
少数の細胞から臓器全体を再生させる能力を持つことから、科学的に注目されている。
生体膜
細胞や細胞小器官の有する、その外界との境界の膜のことで、特有の構造を持つ。
厚さ7~10nm。種類は以下のようなものがある。
細胞膜、リソソーム膜、ミトコンドリア内膜、外膜、小胞体膜、ゴルジ体膜、核膜、シナプス小胞膜。
構成の主成分は、タンパク質および脂質であり、その存在比は生物やその器官によって異なる。
構成している脂質はリン脂質が主体であるが、ステロイドも重要な構成要素である。
細胞においてはコレステロールが、かなりの割合で存在する。
また細胞標識として糖脂質も存在しており、ここから膜の外面に向けて糖鎖が突き出している。
リン脂質の種類としては、グリセロール骨格を有するグリセロリン脂質とスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴリン脂質に大分される。
グリセロール脂質の中では、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンなどが主である。
スフィンゴリン脂質の中では、スフィンゴミエリンが主である。
ちなみに、生体膜が単に細胞の内外を隔てる物理的な壁でしかないならば、生体膜がこのようにさまざまな脂質から構成されている必要はないのであるが、実際には数十種類の脂質から構成されている点は興味深いとされている。
これら脂質は、それぞれが生体膜上で何らかの機能発現をしていると考えるのが通常である。
生体膜の役割としては以下のようなものがある。
1.外界との境界として内部物質の流出を防ぐ
2.酵素による物質代謝
3.受容体による情報の感受
4.輸送体による選択透過性、能動輸送および促進拡散
5.免疫特性の発現
ほかにも多くの役割があるが、生体エネルギー変換などをになう重要な酵素群は膜に位置している。
生理活性物質(アディポサイトカイン)
身体の脂肪細胞がエネルギーを備蓄する働きだけでなく、さまざまな生理活性物質(サイトカイン)を分泌する細胞であるという事実がわかってきました。
脂肪細胞は英語でアディポサイトと言います。アディポサイトから分泌されるサイトカインを総称してアディポサイトカインと言います。
アディポサイトカインにはさまざまな種類が存在します。
インスリンの働きを阻害して糖尿病を引き起こす腫瘍壊死因子(TNF ―α)をはじめ、高血圧と関連するアンジオテンシノーゲン、血栓の形成に関係し心筋梗塞や脳卒中の原因となるプラスミノーゲン活性化因子(PAI―1)、遊離脂肪酸、インターロイキンー6、MCP-1,などで、脂肪細胞から大量に分泌され動脈硬化などの発症に強く関与しています。
アディポサイトカインには悪玉と善玉と2つのタイプが存在します。
先のTNF ―αやアンジオテンシノーゲン、PAI―1は悪玉の代表で、善玉アディポサイトカインはアディポネクチンとレプチンです。
アディポネクチンは脂肪細胞がつくるアディポサイトカインの中でもっとも大量につくられるもので糖尿病や高血圧、炎症、動脈硬化などの病的変化を強力に阻止する働きがあります。
アディポネクチンは血液の中に大量に含まれ、糖尿病や高血圧、高脂血症、動脈硬化などを予防する働きや傷ついた血管を修復する働きをします。
しかし、脂肪細胞におけるアディポネクチンの合成・分泌量は、内臓脂肪が蓄積すると低下するという性質があります。
一方、悪玉アディポサイトカインは内臓脂肪の増加によってさらにその合成・分泌量が増えるという性質を有し、そのため内臓脂肪が蓄積するに従い高血圧や糖尿病、高脂血症が進展し、脳卒中や心疾患を発症させやすくなってしまうのです。
セグメント細菌(Segmented Filamentous Bacteria・SFB)
1849 都市のJ. Leidy による昆虫などの節足動物の腸管に存在する最近の報告(Proc. Acad. Nat. Sci. Philadelphia 4, 225-233)にまでさかのぼることができる。
その特徴は、名前の由来にもなった複数の細菌細胞が連結した長い糸状の独特の形態をとることと宿主の腸の上皮細胞にきわめて強く接着していることです。
さまざまな動物の腸管内(特に小腸)に常在する細菌だが、
ヒトでの存在はまだはっきりしていない。
セグメント細菌は腸管免疫の発達に重要な役割を果たしており、腸管免疫の中心となるパイエル板を発達させ、腸上皮細胞の間に存在するT細胞の数やIgA(抗体の一種)の分泌量を増やす働きがある。
さらに最近、セグメント細菌が腸管のT細胞の一種であるTh17細胞を誘導することが明らかになり、注目されている。
セリンプロテアーゼ
セリンプロテアーゼ (Serine Protease) とは触媒残基として求核攻撃を行うセリン残基をもつプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)のこと。
多くは触媒残基としてセリン (Serine, Ser)、ヒスチジン (Histidine, His)、アスパラギン酸 (Aspartic acid, Asp) の3残基を有しているが、ヒスチジンおよびアスパラギン酸残基は他のアミノ酸残基で代用されているものもまれにある。
これら3残基はアミノ酸配列上は隣接していないが、空間的にはSer-His-Asp酸の順に水素結合で結ばれるように配置されており、セリン残基側鎖のγ位の酸素原子の求核性が高められている。
このγ位の酸素原子が基質ペプチドの主鎖のカルボニル炭素に求核攻撃することから加水分解反応が始まる。
セリンプロテアーゼはアミノ酸配列や立体構造の類似性からスブチリシン様 (subtilisin-like) セリンプロテアーゼとキモトリプシン様 (chymotrypsin-like) セリンプロテアーゼに分類される。
昨日として、ペプチド結合を加水分解する酵素で、様々な種類のものが、栄養吸収、タンパク質の廃棄とリサイクル、生体防御、活性の調節、などの幅広い分野で働いている。
セロトニン(serotonin)別名5-ヒドロキシトリプタミン
(5-hydroxytryptamine、略称5-HT)
動植物に広く分布する生理活性アミン、インドールアミンの一種。ヒトでは主に生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与する。
必須アミノ酸のトリプトファンから産生される。生体内では小腸にある腸クロム親和性細胞、および腸クロム親和性細胞様細胞が主に産生し、約90%を保有する。神経細胞でも少量産生され、脳内モノアミン神経系(セロトニン神経)で生理機能などに深く関係している。
トリプトファンが脳内に入るには血液脳関門を通過する必要があるが、BCAA(分岐鎖アミノ酸、バリン・ロイシン・イソロイシン)とトリプトファンは共通の輸送体を使って脳内に入る。トリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファンに、さらに変換されてセロトニンになる。健常男性は女性より約52%脳内セロトニンを産生する能力が高いとされ、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少するともされる。
生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などの生理機能と、気分障害・統合失調症・薬物依存などの病態に関与している。
ドーパミンやノルアドレナリンなどの感情的な情報をコントロールし、精神を安定させる働きがある。
ホルモンとしても働き、消化器系や気分、睡眠覚醒周期、心血管系、痛みの認知、食欲などを制御している。
造血器腫瘍
血球細胞が腫瘍化し、異常に増殖している血液のがん。
造血器腫瘍のWHO分類
慢性骨髄増殖性疾患
・慢性骨髄性白血病 ・真性赤血球増加症 ・慢性特発性骨髄線維症 ・本態性血小板血症
骨髄異形成/骨髄増殖性疾患
骨髄異形成症候群
急性骨髄性白血病
BおよびT前駆細胞の腫瘍
成熟B細胞腫瘍
・慢性リンパ性白血病 ・形質細胞腫瘍 ・濾胞性リンパ腫
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
成熟T
・NK細胞腫瘍
・成人T細胞白血病/リンパ腫 ・末梢性T細胞リンパ腫
ホジキン病
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