オンコーシス(ネクローシス)とは
偶発的な死もしくは受け身的な細胞死であり、細胞死を惹起(じゃくき)(事件や問題を引き起こす事)する刺激が加わると、
細胞内にカルシウムイオンが流入、とともにカルパイン(calpain)が活性化され、細胞膜タンパクなどが分解され、細胞膜チャネルの開放に伴って細胞内に細胞内液が流入し、リソソームが漏出(ろうしゅつ)することで、細胞が膨化(ぼうか)する(オンコーシス:oncosis)つまり、細胞質も核も崩壊し、組織全体に障害が波及する(ネクローシス:necrosis)、細胞内カルシウムイオンの増加は、ネクローシスの中心的特徴でタンパク質分解酵素(カテブシン)を活性化させ、重要なタンパク分解をします。
アラーミン
①ネクローシスに陥った細胞から急速に分泌され、②活性化された免疫担当細胞から能動的に分泌され、③樹状細胞を含む自然免疫系の受容体を介して活性化し、④侵襲(しんしゅう)そのものや炎症による二次的な障害によって破壊された組織の再生を促し、生体の恒常性維持に寄与する。と言った
四つの性質を有する内因性物質をアラーミン(aiarmin)と定義されました。
アラーミンの代表格は、
high mobility group box chromosomal protein 1 (HMGB1)という
核内DNA結合タンパク質でありますが、そのほかに、
熱ショックタンパク質(hertshock protein:HSP)、
S100タンパク質、
hepatoma-derived growth factor(HDGF:肝癌由来成長因子)等も
アラーミン(alarmin)と考えられている。
つまり
アラーミンは、
ネクローシスした細胞から放出される、周囲組織を障害し修復する物質と言えます。
アラーミンシグナルによる生体制御機構
HMGB1とは何か?生体が侵襲を受けて細胞壊死(ネクローシス)に陥ると、壊死細胞の核の中から
DNA結合蛋白HMGB1が遊離してきて、周辺細胞に発現している
TLR-2、-4、
RAGE(Rceptor for Advanced Glycation Endoproducts、AGE)に作用し、侵襲局所の止血、感染防御、そして修復のベクトルを発現させることが判明してきました。
このように、侵襲や障害局所の活性化マクロファージ、樹状細胞、あるいは壊死細胞から遊離してきて、周辺細胞の自然免疫を誘導する分子は近年、アラーミン(Alarmin)と呼ばれる、すなわち、
アラーミンはDAMPs(Danger Associated Molecular Patterns、 Damaged Cell Associated Molecular Patterns、
傷害関連分子パターン)、
PAMPs(Pathogen Associated Molecular Patterns:
病原体関連分子パターン)
と連動して、自然免疫誘導や修復に関わる。
アラーミンの中で最もよく研究されている分子が、HMGB1である。
局所性HMGB1は侵襲部位の止血,自然免疫,修復に働く。
上述のごとく、
侵襲局所で細胞外に遊離してきたHMGB1は周辺細胞のTLR-2、-4、RAGEを介して止血、自然免疫誘導を誘導し、また幹細胞、前駆細胞をリクルートして活性化し、修復に働く。
全身性HMGB1は、ショック、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、多臓器不全(MOF)のメディエーター(介在物質)である。
しかし、このHMGB1が流血中に入り、全身を循環すると、肺は腎臓などの遠隔臓器に炎症や止血反応を“転移”させて、DIC、SIRS、ARDS、腎不全、ショック、MOFのメディエーターとして働くことが判明してきた。
すなわち
HMGB1はショック死のメディエーターである。
HMGB1は
トロンボモデュリンによって局所化される。
局所にHMGB1を封じ込め、侵襲修復のアジュバントとして有効利用している仕組みは血管内皮細胞のトロンボモデュリン(TM)であることを我々は検証した。
すなわち
TMは侵襲局所の炎症や止血反応が全身化するのを防ぎ、閉鎖循環系内部を“聖域化”している分子であることが判明してきました。
オートファジーは細胞のリサイクルシステム
プロテアソームは、細胞内の巨大タンパク質分解酵素複合体