血液とは、動物の体内を巡る主要な体液で、全身の細胞に栄養分や酸素を運搬し、二酸化炭素や老廃物を運び出すための媒体です。
特に外傷などが無い限り、血液は血管の内部のみを流れます。
血管の外には組織液(間質液)があり、液体成分と一部の血球は血管の壁を越えて出入りしますが、血管の周囲にある細胞は、組織液に浸っていると考えます。
血液の役割は、
栄養(糖、脂質、アミノ酸、タンパク質等のエネルギー基質)の運搬、 各種ホルモンなど
作用物質の運搬(全身の情報・指令伝達)、
防御、 外傷に対しては血小板の凝集や血液凝固因子による
フィブリン塊を形成し
止血や傷を塞ぐ作用を起こし、細菌への
免疫機能発露や異物に対する
抗体生成も行います。
体温調整、排出、組織で産生された
代謝老廃物を肺、腎臓・肝臓・皮膚・腸管などの
器官への運搬や代謝産物の運搬をします。
体内に分布する
化学受容器、圧受容器に適合刺激を与え、体内の酸と塩基の平衡を維持して
pHを調節や 水分代謝を調整し、血圧や組織液の
浸透圧などをコントロールします。
血液成分は、血球成分(細胞性成分、血液細胞)と血小板、これらを浮遊させる
血漿成分(液性成分)からなり、その比率は およそ40~45:60~55です。
また、
血球成分(血液細胞)は重量比で赤血球96%、白血球3%、血小板1%で構成され、漿成分は水分90%、血漿蛋白質7%、そのほか微量の脂肪、糖、無機塩類で構成されています。
血球(血液細胞)はいずれも骨髄で造血幹細胞から分化・成熟したもので、健康人では未熟な細胞は骨髄から血液内に移動することは出来ず、血液内には赤血球、白血球、血小板のみが存在します。
血液の物性や成分
・比重 男1.055~1.063 女1.052~1.060
・赤血球数 男500万/mm3 女450万/mm3
・白血球数 5000~8000/mm3
・血小板 20~50万/mm3
・ヘマトクリット値 男42% 女37%(全血液中容量中の赤血球容量の割合)
・血漿タンパク質 7% (うちアルブミン56%)
・pH 7.4
この他、各種イオンや有機酸、グルコース、脂質、尿素などを含みます。
血球は骨髄で作られます
骨は骨膜、骨質、および
骨髄からなり、生体内での骨の機能は多岐に亘り、体の保護や姿勢の維持、筋肉を用いた運動のほかに、栄養の貯蔵や、
血球を産生する場としての役割も持っている。
骨の大きさや形状は多種多様であり、縦に長い形状の「長骨」、立方体の形状の「短骨」、平たい形状の「
扁平骨」、上記以外の特殊な形状を持つ「
不整骨(」に大別できます。
正常な骨は常に新陳代謝を行い、破骨細胞と骨芽細胞の働きによって活発に吸収と再構築が行われ、一定の量が保たれています。
骨折が治癒するのも骨の再生によるものであります。
骨の再生産、カルシウムの保持または放出は、副甲状腺ホルモン (PTH) 等によって制御されます。
骨質には無機物、骨髄腔には脂肪が貯蔵されています。
主成分はリン酸カルシウムです。
そのため、
骨形成にはカルシウム、リン、ビタミンDの摂取が不可欠です。
骨の有機成分の主体はタイプI型コラーゲンです。
タイプII型は軟骨に主に分布する有機成分です。
骨の形成には主として骨芽細胞と破骨細胞が関与しており、これらの細胞による代謝のバランスの下に骨量が維持されています。
最近の研究で理化学研究所は、
骨格形成には糖鎖の代謝が重要な役割を担っていることを解明し、新遺伝子 SLC35D1 を特定しました。
骨の構造(骨髄で作られた血液細胞が骨から如何に体内へと回るかがわかります)
骨髄は、骨の中に存在する柔組織です
骨髄には、大きく分けて2種類の細胞があります。
血液の細胞とそれを支持する間質細胞です。
骨髄間質細胞は、骨髄中に存在し骨髄穿刺で容易に採取でき造血を支持する細胞として知られ、
間葉系の細胞と同じかたちをしており、骨髄の中で細網構造をとっています。
骨髄は血液に富み、
あらゆる血球系細胞(赤血球、白血球、リンパ球、血小板のもとになる巨核球など)に分化できる造血幹細胞が存在します。
造血機能を営んでいる骨髄は赤色を呈するため赤色骨髄(あるいは赤色髄)、造血機能を失い脂肪化している骨髄は黄色を呈するために黄色骨髄(あるいは黄色髄)と呼ばれます。
造血を行う赤色骨髄は幼児期には全身の骨に存在しますが、加齢と共に四肢の骨の造血機能は失われ、黄色骨髄に置き換わります。
25歳を過ぎた成人では体躯の骨にほとんどの赤色骨髄が存在し、特に腸骨と胸骨に大量の赤色骨髄が存在します。