FGHIJ
FADD(Fas-associated death domain)
FADD蛋白質は、Fas L→Fas→FADD→caspase 8と伝達されるアポトーシスシグナル経路の中のアダプター分子である。
Fcレセプター(Fc受容体)
免疫グロブリン(抗体)分子のFc部位に対する受容体タンパク質であり、細胞表面に存在する。
免疫グロブリン分子であるIgG、IgA、IgE、IgMに対する受容体をそれぞれFcγR、FcαR、FcεR、FcμRと呼ぶ。
機能
Fc受容体は抗体が結合するための単なる器としての役割だけではなく、抗体の結合は細胞の機能調節にも関与することが知られており、細胞の種類や受容体のクラスによってその影響は異なる。
ほとんどのFc受容体は免疫を活性化させる方向に働くが、FcγRIIBは唯一、抑制性のシグナルを伝えるFc受容体である。
Fc受容体は抗体により捕捉された抗原分子の貪食や、抗原提示能の増強などの機能を有している。
FDG
PET検査のため人体に投与する薬剤。
正確には18F-FDG(フルオロデオキシグルコース・ Fluorodeoxyglucose)と呼び、グルコースに放射能を出す成分(ポジトロン核種)を組み込んだものです。
具体的にはグルコースの水酸基のひとつをポジトロン核種「18-F」に置き換えた構造となっています。
FDGはポジトロン核種を組みこんだ化合物のなかでも、PET検査で最もよく使われています。FDG以外にも検査の目的にあわせて、様々な化合物を使うことがあります。(例えば、FDGと同じ18Fを組み込んだ18F-フルオロドーパ(脳内伝達物質)、「酸素」や「水」の水酸基のひとつを15Oに置換したもの、「酢酸」や「アンモニア」を使うものなどがあります。)
いずれも人体に必要な成分に放射線を出すポジトロン核種が組み込まれていて、成分に応じて体内に分布します。18-Fの半減期(放射能が半分にまで減る時間)は約110分で、丸一日も経つとほとんど完全になくなってしまいます。
人体に影響はありませんが、薬剤としての寿命が大変短いため、PET検査施設で当日つくられて、できたてのものを検査に用います。
FGF
線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factors)FGFは、血管新生、創傷治癒、胚発生に関係する成長因子の一種。
FGFはヘパリン結合性タンパク質で、細胞表面のプロテオグリカンの一種ヘパラン硫酸と相互作用を持つことがFGFのシグナル伝達に不可欠なことが明らかになっている。
FGFは広範囲な細胞や組織の増殖や分化の過程において重要な役割を果たしている。
GSE遺伝子(gonad-specific expression gene)
GSE(gonad-specific expression gene)遺伝子は
ZGA期に発現が変化する、
精巣および卵巣で特異的に発現する新規遺伝子である。
これまでの研究からGSEは、(1)ノーザンブロット解析より生殖腺以外の体細胞系列組織では発現しないこと、(2)精巣では
パキテン期の精母細胞が出現する生後14日目からGSEは発現し始めること、(3)減数分裂期にある精母細胞が存在する分娩時から発現し始めることが示され、生殖細胞の減数分裂に何らかの役割を果たしていることが示唆された(Zhang et al,2002)。
Gタンパク質
Gタンパク質:グアニンヌクレオチド結合タンパク質の略称。
細胞内の生化学的反応を切り替える「スイッチ」としてグアノシン三リン酸 (GTP)をグアノシン二リン酸 (GDP)へ替えるため、この名がついている。これを発見し調査したアルフレッド・ギルマンとマーティン・ロッドベルは
1994年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。
Gタンパク質は細胞で最も重要なシグナル伝達分子の一つです。
Gタンパク質は細胞増殖・分化の制御や細胞アクチン骨格の形成、細胞内物質輸送など、さまざまなものに関与している。
特に細胞増殖・分化に関係していることから、がんと関係している。
Gタンパク質の制御ができなくなれば細胞増殖のシグナルを出し続けることになるからである。
Gタンパク質共役受容体:(G protein-coupled receptor;
GPCR)は受容体の一種。Gタンパク質結合受容体、あるいは細胞膜を7回貫通する特徴的な構造から7回膜貫通型受容体, (seven transmembrane receptor; 7TM)と呼ばれることもある。
細胞外の神経伝達物質やホルモンを受容してそのシグナルを細胞内に伝える。
GPCRは多くの疾患に関与しているため市販薬の数割がGPCRを標的としている。
GPCRの機構を解明する上で重要な発見をしたブライアン・コビルカとロバート・レフコウィッツの2名が2012年のノーベル化学賞を共同で受賞している。
Gsタンパク質:受容体活性化Gタンパク質は細胞膜の内表へ結合し、Gα及び固く結合したGβγサブユニットから成る。リガンド(受容体に特異的に結合する物質)がGタンパク結合受容体を活性化するとき、Gタンパク質は受容体と結合して、持っているGDPをGαサブユニットから切り離し、GTPの新しい分子と結合する。Gαサブユニットは最終的にその固有の酵素活性により結合したGTPをGDPへ加水分解することで、
Gβγと結合して新しい周期を始める。
ノーベル賞受賞内容
Gタンパク質共役受容体は1つのタンパク質だけについている名前ではありません。
現在知られているだけで1000種類以上もある、大きな大きなグループの総称です。このグループのメンバーは、際だった特徴があります。それは、細胞膜を縫うように、7回貫いていること(7回膜貫通型タンパク質といいます)。
今回のお二人の業績は、この構造を明らかにしたこと。レフコウィッツ博士は、このグループに共通する基本的な構造を明らかにしました。1980年のことです。そして、レフコウィッツ博士の研究室にポスドク研究員として参加していたコビルカ博士はNMR(核磁気共鳴)を使って、三次元構造を詳しく調べました。
構造が詳しく分かると、どういう良いことがあるのでしょう? そのヒントはGタンパク質共役受容体の働き方にあります。
「受容体」という名前がついていることからもわかるように、このタンパク質には何かの「受け手」です。何かが、このタンパク質にくっつくのです。それは、
ホルモンだったり、神経伝達物質だったり。受容体にくっつくものはまとめて「
リガンド」と呼んでいます。
受容体とリガンドの関係を、野球のグローブとボールにたとえてみましょう。先ほど書いたように、Gタンパク質共役受容体には1000種類以上の種類がありますが、それぞれボールをキャッチする部分の形が少しずつ違います。そして、それぞれの形にぴったり合うボールしか入りません。言い換えれば、グローブの形が分かればボールの形も分かります。そして、グローブ(Gタンパク質共役受容体)にぴったり合うボール(ホルモンなど)が結合すると、「ボールが来た!」ということが合図となって、細胞の中で一連の反応が始まり、その結果、血圧が上がる・アレルギー反応が起こる・光を感じるなどの刺激への反応が起きます。どの反応が起きるかは、ボールの種類=グローブの種類、つまり、グローブの形によります。

Gタンパク質共役型受容体の構造が詳細にわかれば、それに合うボールの形も推測しやすくなります。ボールが結合するのを邪魔したり、ボールのかわりにずっと結合するような物質を作ることができれば、それはGタンパク質共役受容体の働きを抑えたり、活発にする薬となる可能性があるのです。実際、現在、市販されている薬の多くはGタンパク質共役受容体に作用するものです。
あるタンパク質がGタンパク質共役受容体であるかどうかは、7回膜を貫通しているかどうかなどで判断することができます。しかし、たくさんの種類のあるこの受容体の中には、まだ機能がよくわかっていないものもあります。この中には、まだ有効な治療薬がない病気に関係したGタンパク質共役受容体もあるかもしれません。そういう意味からも、研究の進展が期待されているのです。
Gタンパク質については、1994年にアルフレッド・ギルマン博士、マーティン・ロッドベル博士がノーベル生理学医学賞を受賞しています。このときは、ボールの結合がきっかけとなって起きる細胞内の一連の反応の解明でした。2回もノーベル賞の対象研究となったのは、それだけ私たちの病気に関して明るい希望をもたらす重要な研究だからだと思います。
また、一度目は細胞内での反応についての研究であるためノーベル生理学医学賞が、今回は薬の合成とかかわりの深い、構造の解明だった点で化学賞が与えられたのではないでしょうか。
H2AX
ヒストンH2AXは。ヒストン8量体に含まれるヒストンH2Aのvariantで、ヒストンH2AよりもC末が長い構造となっている。
環境汚染物質と紫外線の複合作用によってDNA2本鎖切断が生じた場合の細胞応答の一つに、ヒストンの一種H2AXの 139番セリン部位のリン酸化があり、これはγ-H2AX(リン酸化H2AX)とよばれる。
HB-EGF
脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン (生理活性物質) の 1 つで、動脈硬化を促進する作用があります。HB-EGF とは heparin binding-epidermal growth factor-like growth factor の略です。
HMGB1(high mobility group box chromosomal protein 1)
HMGB1は、約30年前にDNA結合蛋白として発見された分子量30kDの蛋白である。
1999年、Wangらは,HMGB1の敗血症におけるlate mediatorとしての機能、重症度のマーカーや治療標的としての有用性を報告した。
HMGB1は、種々の重症病態において、
壊死に陥った細胞の核内から受動的に分泌される経路および、
活性化されたマクロファージや血小板から能動的に分泌される経路の2つの経路を介して血中に出現し、receptor for advanced glycation end-product (RAGE)やtolllike
recptor(TLR)-2,4等の受容体を介してNF-κBを活性化し、炎症反応や細胞遊走を促進する
すなわち、
HMGB1は炎症の“転移”を媒介する重要な因子であるといえる。
現在では、敗血症、急性肺損傷、外傷、術後、disseminated intravascular coagulation(DIC)、虚血・再灌流障害等の急性炎症のみならず、
慢性関節リウマチや動脈硬化等の慢性炎症、悪性腫瘍の増殖や浸潤、転移等、様々な病態におけるkey mediatorの一つであることが明らかとなり、現在、それらの病態の治療法として抗体や吸着カラム等を用いた抗HMGB1療法の開発が進められている。
一方で、HMGB1は、樹状細胞の活性化や前駆細胞の遊走、増殖などの活性も有し、
炎症の局所では、組織修復因子、免疫アジュバントとして重要な役割を果たしている。
また、炎症局所からHMGB1がsystemicに広がって炎症が“転移”することを防ぐ機構として、血管内皮細胞に発現する
トロンボモジュリンが重要な働きをしており、トロンボモジュリンはまさに免疫炎症反応と凝固線溶反応の“交差点”としての機能を有していることが明らかとなってきた。
トロンボモジュリンは,血管内皮細胞表面に存在し,血中に出現するトロンビンと複合体を形成して凝固阻害因子のプロテインCを活性化する。
内皮細胞の障害で産生されるTMは,特に細小血管壁の障害や破壊で細胞内のプロテアーゼで分解されて血中へ遊離され,可溶性TMとなり,尿中へも排泄される。したがって,血中TM濃度測定で内皮細胞産生機能や障害度が推測されるので,血管内皮細胞の障害マーカーとして有用である。
トロンビン(Thrombin、第IIa因子とも)は、血液の凝固に関わる酵素(セリンプロテアーゼ)の一種。EC番号はEC 3.4.21.5であり、フィブリノーゲンをフィブリンにする反応を触媒する。遺伝子は人の場合、第十一染色体のp11-q12に存在する。
トロンビンは血液中に存在するプロトロンビン(第II因子)が第V因子によって活性化されることによって生まれる。第V因子、第VIII因子及び第IX因子を活性化させるので凝血反応の中核的な存在であり、血液凝固を阻止する際にはこの酵素の働きを止めることが重要である。
また血小板を活性化することで凝血を促進する機能もある。この場合には血小板表面の受容体(Gタンパク質共役型受容体)を介して働く。
HRG(heregulin:へレギュリン)
乳がん患者の30%がもつ「HRG(ヘレギュリン)」タンパク質。
HRGが乳がん幹細胞の表面にあるタンパク質(受容体)に結合すると、乳がん幹細胞に信号が伝わり、細胞からさまざまなタンパク質が放出され、がん幹細胞の増殖がうながされる。
放出されたタンパク質は、がん幹細胞が体内で生きのびられるよう、栄養を運ぶための血管を新たに作らせたり、がん幹細胞を免疫細胞から攻撃されないようにする働きをもつという。
IAP(免疫抑制酸性蛋白、immunosuppressive acidic protein)
IAPはα1酸性糖たんぱくのひとつで、主にマクロファージで産生され宿主の免疫能を抑制する作用を持っています。
血中IAPは腫瘍マーカーとして広範囲の腫瘍で高値となるが、炎症性疾患や免疫能の低下でも測定値の上昇を示すため癌との鑑別が必要です。
IgE(Immunoglobulin E)免疫グロブリンE
哺乳類にのみ存在する糖タンパク質であり、免疫グロブリンの一種である
ブタクサに対してアレルギーをもつ患者の血清からIgEを精製した。
IgEの"E"というアルファベットはこの抗体が紅斑(Erythema)を惹起するということに由来している。
IgE分子は2つの重鎖(ε鎖)と2つの軽鎖(κ鎖およびλ鎖)から構成され、2つの抗原結合部位を有している。
健常人における血清中のIgE濃度はng/ml単位であり他の種類の免疫グロブリンと比較しても非常に低いが、アレルギー疾患を持つ患者の血清中では濃度が上昇しマスト細胞や好塩基球の細胞内顆粒中に貯蔵される生理活性物質の急速な放出(脱顆粒反応)を誘起する。これらのことからIgEはヒスタミンなどと並んでアレルギー反応において中心的な役割を果たす分子の一つとして数えられる。
IL-6ファミリーサイトカイン
IL-6(インターロイキン(Interleukin)-6)はT細胞やマクロファージ等の細胞により産生されるレクチンであり、液性免疫を制御するサイトカインの一つである。
IL-6は種々の生理現象や炎症・免疫疾患の発症メカニズムに関与していることが明らかになった。
IL-6受容体は分子量130kDaの糖タンパク質であるgp130(CD130)と会合して細胞内にシグナルを伝える。
gp130はIL-6受容体以外にもIL-11受容体をはじめ、白血球遊走阻止因子(英:Leukemia Inhibitory Factor、LIF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(英:Ciliary Neurotrophic Factor、CNTF)等に対する受容体とも会合し、これらの分子は
IL-6ファミリーと呼ばれる。
近年ではIL-27及びIL-31もIL-6ファミリーに属すると考えられている。
また、IL-6は脂肪細胞から分泌され、脂質代謝に関与するアディポカイン(英:Adipokine)と呼ばれるグループに属する。
IL-10(インターロイキン10)
私たちの体には生まれながらにして免疫システムが備わっており、外部から侵入してきたウイルスや細菌などの病原体を攻撃して、異物から体を守っています。
この免疫システムは、炎症性サイトカインを誘導することによって免疫反応を増強させます。一方で、この反応が過剰になると、自己を構成する正常な成分までも攻撃してしまう自己免疫疾患を引き起こします。
こうした過剰な攻撃を抑制するため、免疫システムは反応を抑制するメカニズムも持ち合わせています。
この免疫システムの抑制機能をつかさどる分子の1つが、IL-10と呼ばれる抑制性サイトカインです。
IL-10はT細胞やマクロファージといった免疫細胞に働きかけ、直接的に細胞の活性化を抑制したり、マクロファージの抗原提示能を弱めたりすることで、免疫反応を沈静化させます。
IL-10は、さまざまな種類があるT細胞の中でも、主にTh2細胞が産生しますが、そのほかにもNKT細胞や記憶型T細胞、一部の制御性T細胞も産生することが知られています。
I型アレルギー
IgEというタイプの免疫グロブリンが肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球という白血球に結合し、そこに抗原が結合するとこれらの細胞がヒスタミン、セロトニンなどの生理活性物質を放出する。
これにより、血管拡張や血管透過性亢進などが起こり浮腫、掻痒などの症状があらわれる。
この反応は抗原が体内に入るとすぐに生じ、即時型過敏と呼ばれ、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹等の症状を伴う。また、反応が激しく、全身性のものをアナフィラキシーと呼び、さらに急速な血圧低下によりショック状態を呈したものをアナフィラキシーショックという。
代表的な疾患としては、蕁麻疹、PIE症候群、食物アレルギー、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックがあげられる。
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