ハナサナギタケは腸のパイエル板に働きかけ、ガン細胞の掃除部隊を出動させる
私たちの腸には免疫応答をつかさどるパイエル板が存在しています。パイエル板は日頃、活動したり、休憩を取ったりしています。発酵食品等が腸にやってくると刺激を受けて働き出します。マウス実験でその状態を人工的に作り出すために、コンカナバリンA(タチナタ豆に含まれるレクチン)を用います。
さてサイトカインとは「さまざまな細胞から生産され、さまざまな細胞の働きを誘導する物質」の総称ですが、そのメンバーにインターロイキン2とインターフェロンγがあります。これらはガン細胞の掃除部隊(免疫細胞)を増やしたり、活性化させたりするものです。(ここでの掃除部隊とは、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、LAK細胞、間キラーT細胞等です。)
マウスにハナサナギタケを飲ませるとパイエル板からインターロイキン2とインターフェロンγが生産されることがわかりました。コンカナパリンAの刺激のないパイエル板でもそれらは生産され、コンカナバリンAで刺激したパイエル板からの産生量はケタ違いに増加することが分かりました。(グラフ1~4をご覧ください。)
この2つのサイトカイン、インターロイキン2とインターフェロンγの力を使って、ハナサナギタケはガン細胞の掃除部隊を出動させていたのです。
【マウスにハナサナギタケを飲ませるとインターロイキン2の生産量は?】
【マウスにハナサナギタケを飲ませるとインターフェロンγの生産量は?】
この実験で興味深いのは、インターロイキン10も産生することです。
(グラフ5~6をご覧ください。)
インターロイキン10は免疫上昇の暴走を抑えるサイトカインです。
免疫は一方的に上がればいいのではなく、上がりすぎればアレルギー症状やリウマチ等を引き起こします。下がればガンになります。どちらかに傾けば病気になるわけでバランスが重要になります。
加えて、アレルギーを引き起こすサイトカインであるインターロイキン4やインターロイキン5の産生はほとんど見られませんでした。
【マウスにハナサナギタケを飲ませるとインターロイキン10の生産量は?】
このようにバランスのとれたサイトカインの産生は大変珍しく、画期的な発見となりました。
ハナサナギタケが持っているこういった働きをする活性成分は、高分子の糖タンパクであることもわかっています。これは世の中にはまだ出ていない物質です。
上記のインビボ系(マウスに経口投与し、生体内で作用させる)実験は東北大学薬学部で行い、2005年日本薬学会(東京)にて発表しています。
またインビトロ系(パイエル板を取り出して直接作用させる実験は、東北大学薬学部で行い、2003年日本薬学会(長崎市)にて発表しています。