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下咽頭がん・下咽頭癌治療の知識と情報

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下咽頭がん・下咽頭癌治療の知識と情報

下咽頭がん・下咽頭癌における漢方医学療法

漢方医学療法研究会は漢方医学療法が、がん闘病者の治療の福音になればと研究を重ねてきました。
漢方医学療法の作用の一部を闘病者の声として頂いており、声の中から重要度の高い項目に関しての資料をご用意しました。
当研究会の研究成果や実績については「漢方医学療法のがん治療研究における成果」をご覧ください。

□医療相談

下咽頭がん(下咽頭癌)はがんがかなり大きくならないと症状が出ない部位であり、発見された時は頸部リンパ節転移や喉頭に浸潤が見られる場合も多く、また食道がんと重複して発生する場合もあります。
ステージの進んだ3期、4期(末期)の下咽頭がん(下咽頭癌)は次の様な転移や症状が見られます。
周囲組織(骨、軟骨、筋肉)に浸潤、リンパ節転移、肺転移、骨転移、肝臓転移、飲み込む時の異物感、声がれ、息苦しさ、頸部や耳の周りの痛みなど。

下咽頭がん(下咽頭癌)治療に不安や行き詰まりを感じたり、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法の副作用の軽減、全身状態(PS)の改善、QOL(生活の質)の向上、延命、治癒を目指す下咽頭がん(下咽頭癌)の治療法を検討されている方。
お問い合わせをお考えの方はまず「漢方医学療法を始めるにあたって」をご覧ください。

西洋医学との併用、あるいは西洋医学以外のアプローチ方法もございますので、下咽頭がん(下咽頭癌)治療無料相談よりお問合せ下さい。

□下咽頭がん (下咽頭癌)とは

98%とほとんどが扁平上皮癌で、大部分が進行癌であり従来から手術療法を主体とした、放射線療法、化学療法を合わせた集学的治療が行われることが多い。
手術は声帯を含め喉頭まで全部とらざるを得ない場合が多いのですが、最近はがんの広がりの程度により、声帯を一部残すこともできるようになってきました。

下咽頭がんにかかった方の25~30%に、食道がん(転移ではなく全く別のがん)が見つかっており、これは食道がんの発生が下咽頭がんと同様に、飲酒や喫煙と深い関係があることが原因と考えられています。

特に基はお酒が弱い体質なのに、鍛えて強くなった方に下咽頭と食道の重複がんが多いことが最近の研究でわかってきました。
そのため、下咽頭がんは治療前に上部消化管の内視鏡検査(食道から胃までを含めて)が必須となります。
そして、重複した胃がんが発見された場合、その治療は、下咽頭がんと同時に手術したり、下咽頭がんとは別に内視鏡を用いて切除したりしています。
下咽頭がんと食道がんや胃がんのそれぞれの病気の進み具合によって、手術の方法や治療法が異なってきます。



□下咽頭がんの種類と発がん原因

梨状陥凹癌は、長年の喫煙、飲酒が原因といわれています。
輪状軟骨後部癌はPlummer-Vinson症候群(鉄欠乏性貧血を伴う嚥下障害)の関与が言われていますが、近年では食文化の改善で激減しています。

発がんの原因について詳しく知りたい方は、「がんの知識と情報」の「発がんの引き金」「がん(癌)のイニシエーター慢性炎症」を参照ください。

□下咽頭がんの検診と診断

下咽頭がんに対しての検診はありませんが、上部内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)のときに発見されることが増えてきています。

しかし、下咽頭は喉頭の裏側にあるという解剖学的特長から早期での診断が難しく、早期では喉頭内視鏡検査や上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)でも発見が難しいことがよくあります。

画像検査:上部消化管透視検査が比較的有効で、このとき食道癌も見つかることがあります。
CT、MRIで腫瘍の広がり進展度を詳しく判断します。
また超音波検査も加え頸部リンパ節転移の有無も総合的に判断します。

消化器内視鏡検査:気道、消化管を中心とした多発癌や重複癌の頻度が高いので、咽喉頭の内視鏡検査に加え、食道癌の有無を調べるために上部消化管内視鏡検査を行うことが必須です。

□下咽頭がんのステージ(病期)と転移

0期: 癌原発巣が上皮内にとどまる極早期の段階。

Ⅰ期: 癌原発巣が2cm以下、あるいは下咽頭の1亜部位(輪状後部/梨状陥凹/咽頭後壁)に限局した状態で、リンパ節転移を認めない段階。


Ⅱ期: 癌原発巣が2cmより大きく4cm以下、あるいは下咽頭の1亜部位(輪状後部/梨状陥凹/咽頭後壁)をこえるか、隣接部位に浸潤し喉頭の固定がない状態で、リンパ節転移を認めない段階。


Ⅲ期: 癌原発巣が4cm以下、あるいは喉頭の固定が状態で、同側に単発で3cm以下のリンパ節転移を認める段階。癌原発巣が4cmより大きい、あるいは片側喉頭の固定した状態で、リンパ節転移を認めないか、あるいは同側に単発で3cm以下のリンパ節転移を認める段階。


ⅣA期: 癌原発巣が甲状軟骨や甲状腺、食道など周囲臓器へ浸潤しない状態で、同側に単発で3cmより大きく6cm以下のリンパ節転移、同側に6cm以下の複数のリンパ節転移、あるいは対側や両側に6cm以下のリンパ節転移を認める段階。
癌原発巣が甲状軟骨、輪状軟骨、舌骨、甲状腺、食道、頸部正中軟部組織のいずれかに浸潤した状態で、6cmより大きいリンパ節転移を認めない段階。


ⅣB期: リンパ節転移の状態とは関係なく、癌原発巣が椎前筋膜、縦隔に浸潤、または頚動脈を全周性に取り囲む認める段階。癌原発巣の状態とは関係なく、6cmより大きなリンパ節転移を認める段階。


ⅣC期: 癌が他の部位、たとえば肺や肝臓などに転移している段階。

咽頭から喉頭あたりは、大変複雑な構造をしており、発声や嚥下といった重要な機能は、デリケートで微妙なメカニズムで成り立っています。

ですから、手術をされる場合
・ どこにがんがあるのか
・ どこまで切除するのか
・ どのような再建方法をとるのか
によって、QOLは大きく変わってきます

切除する範囲が1センチ違うだけでQOLに大きな差が出る場合があります。
喉頭を残せるか残せないかの判断も、医師や医療施設によって微妙に違いますから、ご自身の正確な病状をできるだけ詳しく医師から聞き出すことがご自身の治療方針を決める上で大切になります。

当然のことながら、患部の進展度やリンパ節の転移状況によって、予後のデータもかなり違います。

□下咽頭がん (下咽頭癌)の予後

下咽頭がんは、他のがんに比べ、リンパ節転移の状況が重大な予後因子になっています。たとえ1カ所でもリンパ節に飛んでいれば、その時点でステージはIII。
それ以上では、ステージIVになってしまいます。
患者さんとしては、原発巣ももちろんですが、ご自身のリンパ節転移の状況を正確に把握することが、治療方針を立てる上での指標となります。

咽頭部の周辺には大変リンパ流が多く、頸部には約150~350個のリンパ節(全身のリンパ節の約1/3)が存在するため、下咽頭がん(頭頸部がん全般)は、周辺のリンパ節に転移しやすく、50-60%の人が初診時にはすでに転移しているといわれています。

原発巣による症状は違和感程度で、むしろ、首のどこかにグリグリした腫れができたこと
から受診することも多く、つまり、かなり多くの人が、ステージIIIまたは、ステージIVで見つかっているということになります。

頸部のリンパ節転移の状況は、原発巣と同等かそれ以上の重要な予後因子になります。
数多く転移していれば、標準的な頸部郭清手術を行っても、5年生存率は不良です。


□頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)とは

下咽頭がんは、リンパ節に転移している場合が多くみられます。
そこで癌細胞が転移している可能性のあるリンパ節を予防的に切除し、腫瘍の取り残しをできる限り減らすという目的で行われます。

頸部郭清術には、根治的郭清と保存的郭清の二つの方法があります。
頸部リンパ節転移のリスクが高い下咽頭がんにおいては、通常、下咽頭の手術と同時に行われることが多く、原発巣が放射線治療の適応であっても、頸部転移に対して単独で行われることもあります。

根治的郭清術は、1906年から行われているもので、頸部リンパ節転移に対する確実な治療法として広く施行されてきていました。
しかし、重要な神経や血管を含む脂肪組織や筋肉を一括して切除したり、切断するため、
・肩関節が下垂して前方にわん曲する。
・腕の運動が制限される。
・強度の肩こりが生じる。
など、術後の機能障害が大きいことが問題になってきました。

このため、最近では、周辺組織への浸潤の強いものや広範なリンパ節転移を起こしている例を除き、胸鎖乳突筋、内頚静脈、副神経などの全部か、その一部を保存する保存的郭清術が主流になりつつあります。

□頸部リンパ節以外の転移リスク

咽頭壁のバックスペースには、後方と側方に脂肪や結合組織で構成される隙間(かんげき)があり、副神経・迷走神経・交感神経・舌下神経・舌咽神経などの重要な神経や、外頸動脈・内頚動脈など主要な血管が数多く通っています。

咽後間隙(咽頭の後方)、および傍咽頭間隙(咽頭の側方・副咽頭間隙ともいう)と呼ばれるこのスペースは、上は頭蓋底(頭蓋骨の底の部分)から、下は舌骨(舌の付け根のやや下の骨)にかけてあり、リンパ組織も数多く存在します。

実は、咽頭癌全般や頸部リンパ節転移が多発している症例では、ここに非常に転移しやすいことは、臨床の現場では周知のことなのですが、今のところTNM分類における所属リンパ節としては定義されておらず、通常の頸部郭清手術の対象にもなっていません。

□下咽頭がん (下咽頭癌)の治療をはじめるにあたり

下咽頭がん (下咽頭癌)の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 最終的な治療方法を患者さんが主体となって決定する時代になりつつあります。

下咽頭がん (下咽頭癌)の治療をはじめるにあたり「がん(癌)治療の知識と情報」にまとめましたので参考にしてください。

また医療の進歩とともに治療方法も多様化してきており、 医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンドオピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームドコンセント」と「セカンドオピニオン」をご覧下さい。

がん治療の知識と情報の「がん治療法を選択するに際してのアドバイス」を是非参照ください

□下咽頭がんの治療

進行期別治療法

Ⅰ~Ⅱ期: 放射線治療の適応です。
Ⅲ~ⅣB期: 原則的に広範切除術とリンパ節転移がある場合は、頚部郭清術を同時に行います。
これに、抗がん剤や放射線治療を術前術後に組み合わせて行いますが、治療医によってその方法は様々です。
ⅣC期: 化学療法+放射線療法を行います。

□手術療法
下咽頭癌はその70~80%が進行癌で、従来から手術療法が主体となっています。
ただし手術療法のみでは不十分であり、放射線治療、化学療法を合わせた集学的治療が行われること多いです。
ただしその組み合わせは確立されていません。

・喉頭温存・下咽頭部分切除術
音声機能が保たれる利点はあるが、根治性が低くなるという欠点もあります。
早期の梨状陥凹癌が適応です。
ただし最近では再建手術や術前・術後の管理の進歩により、施設によっては少し進行した癌にも、積極的に喉頭温存手術を行っているところもみられます。

・喉頭摘出・下咽頭部分切除術
下咽頭・喉頭・頸部食道切除術
一般的に行われる頻度が最も高い術式です。

・下咽頭・喉頭・全食道抜去術
下咽頭部分切除で咽頭粘膜が全周の1/3以上温存された場合を除き、再建手術が必要です。
通常は遊離空腸という術式で、空腸(小腸の一部)を食道の代わりに移植する方法が行われます。

□放射線療法
放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法です。

ステージI~IIのリンパ節転移がない比較的早期の下咽頭がん(下咽頭癌)では放射線単独での治療が適応となります。
放射線療法では治癒する率は手術療法と同程度であり、しかも機能の温存が可能であるため、治療後のQOL(生活の質)が高く維持されることが期待できます。

しかし、下咽頭がん(下咽頭癌)は初期症状に乏しく多くの場合は進行した状態で発見されるため、放射線療法単独ではなく、手術療法と組み合せたり、場合によっては化学療法(抗がん剤)と組み合せることになります。

ステージIII~IVの進行した下咽頭がん(下咽頭癌)では放射線療法単独では治癒する確立が低くなるため、一般的には手術療法が主体となります。
手術療法を行う場合でも、手術前に放射線療法を行うことでがんを小さくして手術をしやすくすることや手術後に取り残しが疑われる部分に放射線治療を行うこともあります。

最近は進行した下咽頭がん(下咽頭癌)の治療において、抗がん剤と併せて行う放射線化学療法が行われることもあります。
しかし、抗がん剤の副作用が強く出てしまう、高齢者、合併症があるなどの理由で抗がん剤が使えない場合には適応外となります。

抗がん剤との併用については、放射線療法の前、放射線療法と同時、放射線療法終了後など、どのタイミングで抗がん剤を使うのが効果的なのか、どの種類の抗がん剤を使うのが効果的なのかは、はっきりとわかっていないため、現在臨床試験が進められています。

放射線療法は、骨への転移のための痛み、脳の神経症状、呼吸の苦しさなどの症状を緩和する目的で行われることもあります。

正常な細胞に放射線が照射されると正常な細胞がダメージを受け副作用が出ることがあります。
副作用には治療中又は治療直後にでるものと、半年~数年後にでてくるものとがあります。将来的に放射線の影響で他の部位にがんができることもあるため若い人への放射線治療は慎重に判断する必要があります。

放射線の照射量には決まりがあり、無理をして大量の放射線照射を行うと強い副作用が出る可能性が高いため注意が必要です。

あらかじめ医師に治療計画を確認しておく必要があります。

がん治療の知識と情報「がん放射線療法」を参照

□化学療法
下咽頭がん(下咽頭癌)の治療では、抗がん剤単独での治療効果があまり期待できないため、ほとんどの場合、放射線療法や外科療法と同時に行われることになります。
下咽頭がん(下咽頭癌)の治療では化学療法(抗がん剤治療)は放射線療法や外科療法の補助的な治療として位置づけられています。

手術療法や放射線の照射を行った後に再発したり、完全に消失できなかった場合には単独で使われることがありますが、効果は放射線療法ほど期待できません。
したがって、抗がん剤の治療を行う際には、効果判定をしっかりと行うことがとても大切になってきます。

抗がん剤治療の効果が得られ、なおかつ副作用が少なく、治療を行うメリットがデメリットを上回ると判断されたときのみ行う事がQOL(生活の質)を維持していくためには必要です。

□強力な化学療法(抗がん剤)/放射線療法の副作用対策

強力な化学療法や放射線療法を行えば当然副作用も強く、白血球の減少による感染症、血小板の減少による出血などがおこりやすくなります。
白血球や赤血球、血小板などが低下することを骨髄毒性(骨髄抑制)といいます。

骨髄抑制により身の回りを清潔に保ちウイルスや細菌などの感染を予防する必要があります。
また免疫の低下により帯状疱疹もできやすく、しかも悪化しやすくなります。

治療中は規則正しい生活を送り、免疫力を維持すること、および骨髄抑制からできるだけ早く回復するよう心がけが必要となります。

□癌(がん)の何が生命を脅かすのか

癌(がん)関連遺伝子(癌遺伝子と癌抑制遺伝子)という遺伝子群の遺伝子の変異(2個~10個)が遺伝子産物(変異タンパク質)を産生します。

遺伝子産物(変異タンパク質)は生体の生命維持に重大な支障を与え、多臓器不全や身体の衰弱を招きます。
遺伝子産物(変異タンパク質)こそ癌(がん)が生命を脅かす元なのです。

□がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)の生体に対する影響

がん化した細胞の種類や発生した部位により産生される物質も異なり、がんの病態や悪性度が規定されます。

また、同じ腫瘍内にあるがん細胞でも、クローン増殖(転写)するがん細胞の増殖スピードが早く、悪性度が高い、そして同じ腫瘍内に多くのクローンが混在していると考えられます。
抗癌剤等の薬剤治療により、クローンが死滅しても別のクローンが特別な物質(薬剤耐久性遺伝子産物(薬剤治療が効かなくなる))を産生し、薬剤や免疫(免疫回避機構)に依る治療等からすり抜ける術を獲得します。

がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)は細胞内に産生される物質と細胞外へ産生される物質があり、細胞内にはシグナル伝達関連タンパク質、細胞外には増殖因子、癌胎児性タンパク質(CEA、AFP)、酵素、ホルモン、サイトカイン等です。

この様な事に依り、がん細胞が無知秩序で抑制不能な細胞増殖や転移、がん細胞のアポトーシス抑制(がん細胞の不死化)やがん周囲の血管新生等の能力を獲得します。

生体に対しては、全身の代謝異常、消化器機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)、炎症誘導、発熱、悪液質(食欲低下、体重減少)、高カルシウム血症等、腫瘍随伴症候群と呼ばれる癌(がん)が産生した物質が血流に入って体内を循環する事で起こる症候群、特に病期(ステージ)の進んだ末期癌に多く見られます。

□癌(がん)を克服するには次の様なことが行われなければなりません

「抗炎症」「変異物質の抑制」「免疫細胞の活性」「癌細胞の死滅」「血液の改善」「クローン阻止」「活性酸素の消去」「代謝異常の改善」等を総合的に行わなければ癌(がん)克服の道筋は見えないのです。

漢方医学療法は、これら問題に対し学術的に裏付けられる療法なのです。
漢方医学療法に関心がある方は下咽頭がん治療の無料相談よりお問い合わせ下さい。