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胃がん・胃癌における漢方医学療法

漢方医学療法研究会は漢方医学療法が、がん闘病者の治療の福音になればと研究を重ねてきました。
漢方医学療法の作用の一部を闘病者の声として頂いており、声の中から重要度の高い項目に関しての資料をご用意しました。
当研究会の研究成果や実績については「漢方医学療法のがん治療研究における成果」をご覧ください。

■医療相談医療相談
胃がん(胃癌)ステージの進んだ3期、4期(末期)の胃がん(胃癌)では次の様な転移や症状が見られます。
リンパ節転移、肺転移、肝臓転移、骨転移、腹膜転移、他臓器への播種性転移、癌性腹膜炎や腸閉塞、癒着、腹水、むくみ、体力の低下、衰弱、痛みなど。

胃がん(胃癌)治療に不安や行き詰まりを感じたり、化学療法(抗がん剤治療)の副作用の軽減、QOL(生活の質)の向上、延命、治癒を目指す胃がん(胃癌)の治療法を検討されている方。
お問い合わせをお考えの方はまず「漢方医学療法を始めるにあたって」をご覧ください。

西洋医学との併用、あるいは西洋医学以外のアプローチ方法もございますので、胃がん(胃癌)治療無料相談よりお問合せ下さい。
胃がん(胃癌)とは
胃がんとは胃に生じる癌腫の総称です。胃粘膜上皮から発生した癌腫が狭義の胃癌で、他にも上皮以外から発生するGIST(消化管間質腫瘍)や胃悪性リンパ腫、肉腫などがあります。
日本におけるがんによる部位別死亡者数は、肺癌に次いで第2位(2003年度調査)になっています。
胃がんの発症率は中国、日本、韓国などアジアや南米が高く、アメリカ合衆国をはじめ他の諸国では低めになっています。

これは胃がんの原因は、胃癌の発生過程でヘリコバクター・ピロリ菌による「慢性萎縮性胃炎」の関与が示唆されています。
また、塩や塩蔵の食品は胃癌のリスクが上がることが起こりうるとしています。
厚生労働省による研究では、塩分濃度の高い食事を日常的に摂取する人たちは、そうでない人たちに比べて胃癌となるリスクが高いことが統計的に示されています。
たばこを吸う人は吸わない人に比べて2倍 胃癌になりやすく、お酒を飲むと2倍から3倍胃噴門部の胃癌になりやすいことがわかっています。

ピロリ菌による胃がんの発がんメカニズムが解明
胃がんの主な発がんの原因は、ピロリ菌とされています。
そのピロリ菌がどのようなメカニズムで発がんに至るかが、判明いたしました。

がんの知識と情報 ピロリ菌が細胞のリプログラミングを行うことで胃がんに至ることが判明を検索

■胃がん(胃癌)の症状
自覚症状による胃癌の早期発見は大変難しく、ほとんどの場合、早期がん(癌)の段階では無症状であり、がん(癌)が進行してからでないとはっきりとした自覚症状が出てこないことが多いのです。

胃がんは、進行してくると次のような症状が出てきます。
自覚症状
腹痛・上腹部不快感・吐気・嘔吐・胸焼け・食後の腹部膨満感・食欲減退など
理学的症状
急な体重減少・腹水貯留・黒色便・貧血

■胃がん(胃癌)発見のための検査
X線検査バリウムを飲んで、X線撮影を行い、胃の内側の細かな病変の有無を確かめます。
良性の潰瘍やポリープも発見されます。
手術を行う場合は、病変の範囲を確認し、胃の切除範囲を決定するのに重要な検査です。胃の壁の凹凸を表現する検査なので、でこぼこの少ない病変を見つけるには、限界もあります。
内視鏡検査(胃カメラ)
口または鼻から胃まで挿入して胃の内部を観察します。
胃がんの確定診断を行うために重要な検査です。
胃の病変を直接観察するとともに、病変の組織を採取し、顕微鏡にてがん細胞の有無や、その種類を調べます。
また、凹凸のみならず、色調を含め、粘膜を直接観察するので、小さい病変を見つけることも可能であり、胃X線検査などでがんが疑われた場合の精密検査としても有用です。

超音波内視鏡検査
先端に小型の超音波断層装置の付いた内視鏡を挿入して胃の病変部を検査します。
この検査では、がんの胃壁内の深さや、水平方向への広がりを調べます。

腹部CT検査
X線による腹部の断層撮影を行います。
この検査では、身体を数mm間隔で輪切りにした像を見ることができるため、他の臓器への転移や、リンパ節への転移の検索に有用です。
また、がんが周囲に接する臓器に浸潤しているかどうかを調べる場合も有用です。

■検体検査
ヘリコバクター・ピロリ菌検査
ヘリコバクター・ピロリ感染は胃粘膜の萎縮を引き起こし、胃の発がん要因となるため、感染陽性であれば除菌療法が望ましいとされています。

ペプシノゲン法検査
ペプシンの前駆体であるペプシノゲン(PG)の測定を行うことで胃がん高リスク群を類別するという方法で、検診スクリーニングでの有用性が期待されている。
PGIは胃底腺の主細胞・副細胞より分泌され、PGⅡは胃底腺以外より分泌されるが、いずれも胃の慢性萎縮性変化で低値となり、分化型腺癌の発生リスクを類別し、高リスク群に対し内視鏡検査へのサーベイランスを計るというものです。

ペプシノゲン法検査
ペプシンの前駆体であるペプシノゲン(PG)の測定を行うことで胃がん高リスク群を類別するという方法で、検診スクリーニングでの有用性が期待されている。
PGIは胃底腺の主細胞・副細胞より分泌され、PGⅡは胃底腺以外より分泌されるが、いずれも胃の慢性萎縮性変化で低値となり、分化型腺癌の発生リスクを類別し、高リスク群に対し内視鏡検査へのサーベイランスを計るというものです。

腫瘍マーカー(血液検査)
進行してくるとCEA、CA19-9等の上昇が見られる。
転移等が出てくる場合に高値が認められる。

がん治療の知識と情報の「がん検査の種類」を参照

■病理
組織型としては、ほとんどが腺癌(胃小窩(しょうか)や胃腺に分化する円柱上皮幹細胞から生ずる)であり、まれにガストリン等の内分泌細胞から生ずる内分泌細胞癌(=高悪性度カルチノイド)が発症します。

一般型
・乳頭腺癌(pap:papillary adenocarcinoma)
・管状腺癌(tub:tubular adenocarcinoma)
・高分化型(tub1:well differentiated type)
・中分化型(tub2:moderately differentiated type)
・低分化腺癌(por:poorly differentiated adenocarcinoma)
・充実型(por1:solid type)
・非充実型(por2:non-solid type)
・印環細胞癌(sig:signet ring cell carcinoma)
・粘液癌(muc:mucinous adenocarcinoma)
特殊型
・腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)
・扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)
・カルチノイド腫瘍(carcinoid tumor)

■胃がん(胃癌)のステージ(病期)分類
がんの深さ
T1
粘膜層、粘膜下層までにとどまっているがん
T2
筋層、漿膜下層まで浸潤しているが、胃の表面には出ていないがん
T3
胃の表面まで出ているがん
T4
周囲の臓器(結腸や膵臓)に浸潤しているがん
胃がんが、肝臓や肺などの離れた臓器に転移(遠隔転移)してしまっている場合には、進行度にかかわりなく、ステージはもっとも重いⅣと判断されます。

リンパ節転移
N0:リンパ節転移が認められない
N1:胃に接しているリンパ節に転移がある
N2:胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節に転移がある
N3:遠くのリンパ節に転移がある

ⅠA期
リンパ節転移がなく、粘膜下層までにとどまっている。

ⅠB期 以下のいずれか。
・リンパ節に転移がないが、筋層または漿膜下層まで浸潤している。
・胃に接したリンパ節に転移があるが、粘膜下層までの浸潤である。

Ⅱ期 以下のいずれか。
・リンパ節転移はないが、漿膜を越えて胃の表面まで浸潤している。
・胃に接したリンパ節に転移があるが、筋層または漿膜下層までの浸潤である。
・胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節に転移があるが、粘膜下層までの浸潤である。

ⅢA期 以下のいずれか。
・リンパ節転移はないが、胃の表面に出て、他臓器(結腸や膵臓)まで浸潤している。
・胃に接したリンパ節に転移があり、漿膜を越えて胃の表面まで浸潤している。
・胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節に転移があるが、胃の表面に出ずに、筋層または漿膜下層までの浸潤である。

ⅢB期 以下のいずれか。
・胃に接したリンパ節に転移があり、胃の表面に出て、他臓器(結腸や膵臓)まで浸潤している。
・胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節に転移があり、漿膜を越えて胃の表面まで浸潤している。

Ⅳ期
・さらに遠くのリンパ節に転移があるか、肝臓、肺、腹膜などに遠隔転移が認められる。

■早期胃がん・進行胃がん・胃がん末期とは(胃癌の分類)
胃がんの場合、胃壁のどこまでがんが到達しているかにより、「早期胃がん」と「進行胃がん」に分けられています。
胃壁は内部の層から、粘膜層、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜という順番になっています。
粘膜下層まで達している場合は早期がんと呼ばれ、いちばん外側の漿膜まで達している場合には進行がんという区別になっています。
他にも、進行がんのなかでもとくに病状がすすんでいる場合には、一般には「末期がん」と呼ばれていますが、末期がんと言う定義はありません。


形態による分類
早期がん 隆起型、表面隆起型、表面平坦型、表面陥凹型、陥凹型に分けられます。
進行がん がんと正常な組織の境界が明瞭な限局型、がんと正常な組織の境界がはっきりしていない浸潤型があります。

細胞分化型による分類
胃がん(癌)は大きく分けて高分化型腺がんと低分化型腺がんの二つの発生経路があると考えられています。
高分化型腺がんは老齢変化などで胃に出現する慢性胃炎を母体として発生すると考えられ、
組織学的には胃の腺管と類似した構造で、肉眼的には比較的限局したものが多い。
(やさしく言うと、高分化がんは正常な細胞に似た、比較的おとなしいがんということ)

一方低分化型腺がんは慢性胃炎を母体とせず、腺管を作ることなく、びまん性に増殖する特性を持ち、肉眼的には境界が不鮮明な浸潤型を示すことが多い。
(要するに、たちの悪い治りにくいがん

印環細胞癌とは、胃がんの細胞の形を表す用語で、具体的には細胞質の中に粘液が充満していることによって、特徴づけられます。
細胞増殖が粘膜中層に限局している胃粘膜内の印環細胞癌のような胃がんを「慢性」型胃がんと呼ぶことができるでしょう。
粘膜内の印環細胞の多くは増殖能を失って最終分化した細胞なのです。
しかし、深部では染色体の倍加や遺伝子増幅を含む著しいDNAの変化と顕著な核異形がみられると、慢性骨髄性白血病(CML)と同様、「慢性」型胃がんも、生長の過程で染色体異常が加わって「急性転化」(進展)することを示しています。
「急性転化」した後の印環細胞癌の悪性度が極めて高いのです。

未分化型胃がん 周囲の正常な組織とはまったく別の構造をもったがんで、がん組織はばらばらになりやすくなっています。

ボールマン分類
胃がん(胃癌)の肉眼形態に基づく分類。
ドイツの病理学者であるR.Borrmannが、1901年に提唱した。1型から4型まであり、この分類は胃がんだけでなく大腸がんにも使用される。
また「胃癌取り扱い規約」で定められている0型から5型までの5つの区分は、このボールマン分類をもとに作られている。

■1型(腫瘤形成型)
腫瘍部分がはっきりと隆起していて、周囲の粘膜との境目もわかりやすいもの。
■2型(潰瘍限局型)
通常の粘膜より膨らんでいる粘膜の真ん中に潰瘍があるもの。周囲の粘膜との境目も、比較的わかりやすい。
■3型(潰瘍浸潤型)
2型と形が似ているが、こちらの方が根が深く周囲粘膜との境目が不明瞭。進行胃がんのうち、最も多い型が3型である。
■4型(びまん浸潤型)
特徴のある潰瘍や、腫瘍があるわけではない。癌の根が深く広がり、内臓壁が硬くなるもの。通常粘膜との境目は非常に付きづらく、予後も悪い。
■5型
分類不能

■胃がんの予後と5年生存率
胃がんでは、比較的早期は「分化」型のほうが予後が悪く、漿膜に達した進行期では「未分化」型のほうが予後が悪い。
この予後の逆転現象は、比較的早期では「慢性」型胃がんが「未分化」型に、「急性」型胃がんが「分化」型胃がんに多いのに対し、進行期では「急性転化」したものが主体となった「未分化」型の予後が「急性」の「分化」型の予後よりもさらに悪くなるためと理解できる。
ただし、「急性転化」後も、粘膜内には「慢性」型の成分が残っていることが多い。

胃がんは、早期に発見され治療が行われれば予後の良いがんです。
国立がんセンター中央病院胃癌グループの統計によると、5年生存率は胃がん全体で71.4%、StageIで91.2%、StageIIで80.9%、StageIIIで54.7%、StageIVでは9.4%であった。
(2004年12月)

■胃がん(胃癌)の治療をはじめるにあたり
胃がん (胃癌)の治療は、医師の協力の下で治療方針、期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 最終的な治療方法を患者さんが主体となって決定する時代になりつつあります。

胃がん (胃癌)の治療をはじめるにあたり「がん(癌)治療の知識と情報」を詳しくまとめましたので是非参考にしてください。

また医療の進歩とともに治療方法も多様化してきており、 医師によって方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンドオピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームドコンセント」と「セカンドオピニオン」をご覧下さい。

「がん治療の知識と情報」の「がん治療法を選択するに際してのアドバイス」を是非参照ください

■胃がん(胃癌)治療

胃がん手術療法
内視鏡的粘膜切除術 (EMR)
 :内視鏡(胃カメラ)で見ながらがん部を取り去る方法で、リンパ節転移の危険性がほとんどない場合に可能です。
この治療ですめば患者さんの負担は著しく軽くてすみます

腹腔鏡下手術 :内視鏡的粘膜切除術と比較して十分な切除範囲を得られる上、開腹手術と比較して低侵襲であることから術後早期の回復が可能な方法です。
1cm径の管をお臍の近くの腹壁に挿入し、そこから腹腔鏡というカメラをお腹の中に挿入してモニターで観察しながら、他の数カ所から入れた鉗子を使って手術をします。
それに加えて、通常の開腹術よりも小さな4~5cmの傷を加えることで、通常開腹で施行するのと同様な範囲の手術も可能になってきました。

機能温存手術 :胃の出口(幽門)の重要な機能に注目し、幽門の血流とその運動を司る神経(迷走神経)を損なわずに幽門を残す、幽門機能温存手術

幽門保存胃切除 :胃の中央近くに早期がんがある場合に施行可能です。
幽門側胃切除に比較して、胃の出口である幽門を残し、胃からの食物の排出をコントロールしダンピング症候群(胃に食物が貯留せずにすぐに腸に通過してしまうことによる種々の症状のこと)を防止し、消化液の逆流を防止して残胃炎を減らします。

噴門側胃切除 :胃の上部に早期がんがある場合に施行可能です。
胃の出口である幽門を残し、胃からの食物の排出をコントロールしダンピング症候群を防止するとともに、十二指腸からの消化液の逆流を防止し、残胃炎と逆流性食道炎を減らします。
胃全摘術に比較し残胃による食物の貯留能が確保されます。

噴門側胃亜全摘兼空腸嚢間置術 :胃の上部~中部に進行がんがある場合に施行可能です。胃の出口である幽門以外の胃を切除後、40cmほどの小腸を用いて代用胃を作製し、食道と残した幽門の間をつなぐ方法です。

胃の出口である幽門が残るため、胃全摘術に比較してダンピング症候群や消化液の逆流が少なく、代用胃により食物の貯留能が確保されます。

ただし条件に当てはまっていてもがんのある部位が切除しにくい場所にある場合には「開腹手術」になることがあります。

逆に高齢者などで開腹手術が難しい場合に内視鏡的治療が行われることがあります。

また、最近一部の施設ではITナイフという器具を使ってがんを剥ぎ取るように切除する方法も行われており、通常の内視鏡的粘膜切除術よりも大きな胃がん(胃癌)を切除することができます。

縮小手術 :内視鏡的治療の対象にはならないが胃の2/3以上を切除する手術は必要ないと判断された場合には、胃の切除範囲をごく一部に限定した局所切除を行ったり、リンパ節を取り除く範囲を狭くした縮小手術が行われます。

噴門部や幽門部を温存したり、神経や大網という胃を覆う脂肪組織を残すなどして胃の機能をできるだけ残そうとする手術です。

胃がん手術後に起こりやすい合併症のリスクが抑えられるとともに、患者さんの生活の質(QOL)低下を防ぐことが期待されます。
合併症は膵液がもれたり、消化管の縫合不全で、死亡に結びつくこともあります。
縫合不全は幽門側の胃を切除した後に胃と十二指腸をつなぐ方法では3%弱発生するので注意が必要です。

定型手術:胃の2/3以上の範囲を切除する方法で、胃がん(胃癌)の手術療法としては標準的に行われている手術です。

がんが粘膜下層よりも深く浸潤している場合にはリンパ節に転移している可能性があるためリンパ節も同時に切除します。定型手術では1群と2群のリンパ節を切除します。
場合によっては胃を全部摘出する全摘出手術が行われる場合もあります。

拡大手術:胃がんが進行していて他の臓器に浸潤や遠隔転移していたり、二群、三群のリンパ節に転移がある場合には拡大手術といって、胃を摘出するだけではなく膵臓や脾臓、胆管、大腸の一部などを切除することがあります。

■胃がん手術後の晩期合併症
ダンピング症候群:胃切除により食物が急に腸へ流れ込むためにおこる症状です。
発汗、動機、全身倦怠感などが急激に出現します。
食後30分以内に起こる場合は血液中に増加するホルモンが原因であり、食後2~3時間で起こる場合は低血糖が原因であるとされています。

対策は、食事にゆっくり時間をかけることと、低血糖症状にはあめ玉、氷砂糖や甘い飲み物を摂ることがあげられます。
予防法としては、食後2時間位におやつをたべることも有効です。
残胃炎:幽門が切除された場合、十二指腸から分泌される消化液が残胃に逆流し残胃粘膜に炎症を起こすものです。
構造上の問題であり完全に予防することはできませんが、症状は内服薬で軽減できます。

逆流性食道炎:噴門が切除された場合、逆流防止機能が損なわれて起こります。
苦い水が上がってきたり、胸焼けの症状を来します。
食事療法の原則を守っても改善しない場合、薬剤治療を行います。
貧血:胃切除に伴う鉄分やビタミンB12の吸収不良によりおこります。
特に胃全摘術後の発生率が高く術後数年してから発症するので、定期的な採血検査を施行し、必要に応じて不足分を注射で補います。

骨粗鬆症:胃切除に伴うカルシウムの吸収不良によりおこります。
骨のカルシウムが減少して骨が弱くなり骨折し易くなります。
定期的な検査を施行し必要に応じてカルシウムやビタミンDを補います。

胃切除後胆嚢結石症:胃切除に伴い胆嚢につながる神経(迷走神経)が切れて胆嚢の運動が悪くなることでおこります。
幽門が残る術式の場合、迷走神経を切らないで手術を行い胆嚢の運動能を温存することで胆石の発生を予防できます。

腸閉塞:腸液の流れが悪くなりガスや便が出なくなる状態です。 お腹の術後はすべての人で癒着がおこり、その程度と場所は様々ですが、特に腸が折れ曲がって癒着した場合に腸液の流れが悪くなります。
腸閉塞は絶食や鼻から胃に入れた管から胃液を吸引することで改善する軽度なものから、癒着を剥がすなど手術が必要な場合まであります。
特に腸が捻れて腸管に行く血管も締められると、腸が壊死に陥り穴が開き危険な状態になります。
腹痛が強い場合は、迷わず主治医に相談して下さい。

■胃切除後の食事療法の原則
少量頻回の食事:胃の縮小あるいは喪失により貯留能が低下します。
特に術後早期には間食を併用し、全体として摂取カロリーが増すように工夫しましょう。

早食い大食い禁止:食事にかける時間は長くし、食事量は控えめにしましょう。
これが大原則です。
内容はバラエティー豊かに:退院後は、偏食せず繊維質の食物も含め数多くの食材を楽しみながら摂取しましょう。

食後の姿勢:噴門が切除された術式(噴門側胃切除術、胃全摘術)では、食後30分位は座位になり、横になる場合上体を20度くらいに挙上するのが、食物や消化液の逆流を予防する上で有効です。

■胃がん手術前の化学療法
手術前の診断でがんの周囲への浸潤やリンパ節転移が明らかで、手術でそれらの一部が遺残する可能性がある場合、手術に先立って抗がん剤による化学療法を行う場合があります。この方法でがんを縮小させてから手術を行うと、より根治的な手術が可能になる場合があるからです。

定型手術のリンパ節廓清範囲を越える転移が疑われる場合に低容量CDDP+5-FU点滴静注、S-1経口、S-1経口+CDDP点滴静注などを用いて施行しています。

■胃がん手術後の補助化学療法
手術後の再発予防に行われる治療ですが、まだその効果がはっきりとは確認されておりません。

切除標本でリンパ節に転移を認めた場合、抗がん剤を投与する場合があります。
手術時明らかな腹膜播種(がんが胃壁を破って外側の腹膜にまで至りがんの塊をつくること)を認めなかったものの、顕微鏡で見てがんが胃壁に露出している場合にも抗がん剤を投与する場合があります。

■胃がんの放射線療法
放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法です。
胃がん(胃癌)の場合、放射線療法は臨床試験で行われることがありますが、効果はほとんどなく一般的には行われることはありません。
食べ物の通りをよくしたり痛みを取り除く目的で行われることがあります。

■再発胃がんに対する治療
再発様式により様々です。例えば肝臓転移が認められた場合、その転移が一個であれば肝臓切除を考慮します。
多発性であり切除しきれないと判断される場合、肝臓に流れる動脈に細い管(カテーテル)を入れ薬剤の入口(リザーバー)を皮下に埋め込み、そこから定期的に抗がん剤を注入する治療法もあります。

それ以外にも、経口・点滴で抗がん剤(S-1,CDDP,CPT-11,パクリタキセル,ドセタキセルなど)を組み合わせて行う全身化学療法があります。

■胃がんの化学療法
胃がんの化学療法は、切除不能がん及び再発胃がんが対象に行われます。
「胃がん治療ガイドライン」には、つぎのような事が書かれています。

最近の進歩により高い腫瘍縮小効果(奏効率)を実現できるようになった。
しかし、化学療法による完全治癒は現時点では困難である。
国内外の臨床試験成績からは生存期間の中央値はおおよそ6~13カ月である。
癌の進行に伴う臨床症状発現時期の遅延および生存期間の延長が当面の治療目標である。

胃癌に対する初回治療としての化学療法は,第3相試験118)の結果、S-1 +シスプラチンが現時点で推奨できる。
イリノテカン+シスプラチンおよびイリノテカン+S-1 併用療法は、5-FU あるいは S-1 単独と比較して生存期間の延長を検証することができなかったことから、初回治療として選択することは推奨できない。

経口不可、あるいは中等量の腹水貯留や腸管狭窄を呈している場合には、S-1 +シスプラチンが必ずしも適応とならないことが多い。
また高齢者についても S-1 +シスプラチンの安全性、有用性は十分検証されたとはいえない。

このような症例への S-1 +シスプラチンの適応については慎重に判断する。
適応がないと判断された場合には,経口可能であれば S-1 単独120),経口不可であれば 5-FU 単独などの選択を考慮する。
なお、海外で行われた FLAGS 試験では S-1 +シスプラチンの 5-FU +シスプラチンに対する優越性は証明できなかったが、国内で実施された SPIRITS 試験118)と JCOG9912 試験120)の成績から当面の標準治療として S-1 +シスプラチンを推奨する。

単剤、併用療法で全身投与として使用頻度の多いものは以下の薬剤である。
5-FU,シスプラチン,イリノテカン,ドセタキセル,パクリタキセル,UFT,5’-ドキシフルリジン,S-1 などや,5-FU +シスプラチン(FP),メトトレキサート+ 5-FU +ロイコボリン,5-FU + l-ロイコボリン,イリノテカン+シスプラチン,S-1+ドセタキセル,S-1 +シスプラチンなどが臨床応用されている。

最近では,30~50%程度の高い奏効率を示す治療法も多く報告されているが、奏効率と延命効果、QOL は必ずしも相関せず、最終的には生存期間を指標とした第3相比較試験を実施することにより臨床的有用性を検証する必要がある。

2010年10月改訂 日本胃癌学会編 胃癌治療ガイドライン

■癌(がん)の何が生命を脅かすのか
癌(がん)関連遺伝子(癌遺伝子と癌抑制遺伝子)という遺伝子群の遺伝子の変異(2個~10個)が遺伝子産物(変異タンパク質)を産生します。

遺伝子産物(変異タンパク質)は生体の生命維持に重大な支障を与え、多臓器不全や身体の衰弱を招きます。
遺伝子産物(変異タンパク質)こそ癌(がん)が生命を脅かす元なのです。

■がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)の生体に対する影響
がん化した細胞の種類や発生した部位により産生される物質も異なり、がんの病態や悪性度が規定されます。

また、同じ腫瘍内にあるがん細胞でも、クローン増殖(転写)するがん細胞の増殖スピードが早く、悪性度が高い、そして同じ腫瘍内に多くのクローンが混在していると考えられます。
抗癌剤等の薬剤治療により、クローンが死滅しても別のクローンが特別な物質(薬剤耐久性遺伝子産物(薬剤治療が効かなくなる))を産生し、薬剤や免疫(免疫回避機構)に依る治療等からすり抜ける術を獲得します。

がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)は細胞内に産生される物質と細胞外へ産生される物質があり、細胞内にはシグナル伝達関連タンパク質、細胞外には増殖因子、癌胎児性タンパク質(CEA、AFP)、酵素、ホルモン、サイトカイン等です。

この様な事に依り、がん細胞が無知秩序で抑制不能な細胞増殖や転移、がん細胞のアポトーシス抑制(がん細胞の不死化)やがん周囲の血管新生等の能力を獲得します。

生体に対しては、全身の代謝異常、消化器機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)、炎症誘導、発熱、悪液質(食欲低下、体重減少)、高カルシウム血症等、腫瘍随伴症候群と呼ばれる癌(がん)が産生した物質が血流に入って体内を循環する事で起こる症候群、特に病期(ステージ)の進んだ末期癌に多く見られます。

■癌(がん)を克服するには次の様なことが行われなければなりません

「抗炎症」「変異物質の抑制」「免疫細胞の活性」「癌細胞の死滅」「血液の改善」「クローン阻止」「活性酸素の消去」「代謝異常の改善」等を総合的に行わなければ癌(がん)克服の道筋は見えないのです。

漢方医学療法は、これら問題に対し学術的に裏付けられる療法なのです。
漢方医学療法に関心がある方は胃がん治療の無料相談よりお問い合わせ下さい。