子宮頸がん・子宮頸癌治療の知識と情報
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子宮頸がん・子宮頸癌における漢方医学療法
漢方医学療法研究会は漢方医学療法が、がん闘病者の治療の福音になればと研究を重ねてきました。
漢方医学療法の作用の一部を闘病者の声として頂いており、声の中から重要度の高い項目に関しての資料をご用意しました。
当研究会の研究成果や実績については「
漢方医学療法のがん治療研究における成果」をご覧ください。
□医療相談
子宮頸がん(子宮頸癌) ステージの進んだ3期、4期(末期)の子宮頸がん(子宮頸癌)では次の様な転移や症状が見られます。
子宮外へ浸潤、骨盤内へ浸潤、骨盤外へ浸潤、リンパ節転移、腹膜転移、隣接臓器への転移、局所再発、肺転移、肝臓転移、骨盤を越えた遠隔転移、排尿、排便障害、むくみ、腸閉塞、腹水や痛みなど。
子宮頸がん(子宮頸癌)治療に不安や行き詰まりを感じたり、化学療法(抗がん剤治療)の副作用の軽減、全身状態の改善、QOL(生活の質)の向上、延命、治癒を目指す子宮頸がん(子宮頸癌)の治療法を検討されている方。
お問い合わせをお考えの方はまず「
漢方医学療法を始めるにあたって」をご覧ください。
西洋医学との併用、あるいは西洋医学以外のアプローチ方法もございますので、
子宮頸がん(子宮頸癌)治療無料相談よりお問合せ下さい。
□子宮頸がん(子宮頸癌)とは
子宮頸部と呼ばれる子宮の出口の上皮細胞より発生する扁平上皮癌で、性行為感染症である尖圭コンジローマと同様、ヒトパピローマ(乳頭腫)ウイルス (HPV) の感染によって発症する為、性行為感染症に分類されます。
子宮頸部扁平上皮癌は、ヒトパピローマウイルス (HPV) の長期間の感染による発症で、近年の疫学的調査によると、
扁平上皮癌80%、腺癌20%で、腺癌の比率が上昇しています。
この調査から、子宮頸がんの原因は、性行為が無ければ感染しないというわけではないようです。
子宮頸がん予防の考え方
子宮頸癌の最大の特徴は、原因がはっきりしている為、予防可能な癌であるという点です。
これは
異形成(子宮頸癌になる前の病変)が発見可能なためであり、定期的な子宮頸癌検診により、異形成の段階で発見・治療することにより癌の発症を未然に防ぐことができます。
老化現象とも捉えられる他の癌と異なり、性的活動期である20代から40代に発症のピークがあり、近年、性交開始年齢の低年齢化などにより、若年層の子宮頸癌が増加している傾向があります。
HPVは性交経験のある女性の全てに感染の可能性があります。
妊娠回数や出産回数が多い女性、不特定多数の性行為などは、子宮頸癌のリスクを上げる危険性があり、注意が必要です。
他の性行為感染症と同様、一度しか性行為の経験が無い女性や、出産、妊娠経験が無い女性にも子宮頸癌のリスクは充分ある為、性交経験のある女性全てに注意が必要であります。
ヒトパピローマウイルス (HPV)
150種類位のタイプがあるウイルスで、そのうち
15種類位が発がん性ウイルスといわれています。
子宮頸がんの原因である発がん性HPVは、皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染するウイルスで、多くの場合、性交渉によって感染すると考えられています。
HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほどで、とてもありふれたウイルスです。
そのため、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。
HPVに感染しても多くの場合は、その人の免疫力によってウイルスが体内から排除されます。しかし、10%位の人は、ウイルスが排除されずに感染が長期化(持続感染)することがあります。
この場合、ごく一部の人でウイルス感染から平均で数年~10 年以上をかけ、子宮頸がんへと進展することがあります。
持続感染する原因はまだ明らかにはなっていませんが、その人の年齢や免疫力などが影響しているのではないかと考えられています。
また、HPV に持続感染して子宮頚部の細胞が異形成になっても、途中でHPV が消失し、それに伴って異形成も自然に治癒する場合がほとんどです。
子宮頸がん予防ワクチン
近年HPV ワクチンによる子宮頸癌の予防が海外で始まりつつあり、日本でも臨床試験中であります。
HPV のL1-キャプシドを抗原とするワクチンが現在開発されており、米国ではすでに2006年6月に食品医薬品局(FDA)より認可を得ています。
抗体価は4年半もの期間持続したとの報告もあり、今後、子宮頸癌の一次予防として普及する可能性があります。(2009年日産婦誌61巻4 号より)
子宮頸がんを疑う症状
子宮頸がんを疑う症状として、次のような症状がみられる場合があります。
他の状況によっても同じ症状がみられますが、次のような症状がひとつでもみられる場合には、必ず医師の診察を受けてください。
・ 性器出血 ・帯下(おりもの)異常 ・下腹部および腰の痛み ・性交中の痛み
□子宮頸がん検診と診断
主な検診内容 :問診、視診、細胞診、内診・コルポスコープ検査(必要に応じて)
問診: 初潮年齢や生理の様子、妊娠・出産の経験の有無、月経の状況、自覚症状の有無、などについて聞かれます。
視診: 内診台にあがり、子宮頸部の状態を目でみて確認し、腟鏡で子宮頸部の状態を観察します。
内診: 子宮の形、大きさ、位置、表面の状態、炎症の有無などを確認します。
必要に応じて精密検査(コルポスコピー診)で子宮頸部の状態を詳しく確認したりします。
細胞診: やわらかいヘラやブラシのようなものを膣に挿入し、子宮頸部の粘膜を軽くなでるように採取します(PAPテスト)。
細胞診検査(PAPテスト)の評価は5段階で評価します。
クラスⅠ 正常
クラスⅡ 異常な細胞が見られるが、良性である。(月経周期の影響や子宮頸部の炎症などでも見られる)
クラスⅢa 軽度~中等度異形成を想定する。
クラスⅢb 高度異形成を想定する。
クラスⅣ 上皮内がんを想定する。
クラスⅤ 浸潤がん(微小浸潤がん)を想定する。
クラスⅢa以上の場合は精密検査を実施。
細胞診による癌または前癌病変の発見率は約70%とされています。
HPV検査: HPV検査は子宮頸癌の原因である高リスク型HPV感染の有無を判定する検査で細胞診と同様に子宮頸部から採取した細胞を用い、HPV感染を判定する検査法です。
30歳以上では10%弱がHPV陽性と判定されます。
HPV検査による癌または前癌病変の発見率は約95%とされています。
細胞診とHPV検査を併用した場合、癌または前癌病変の発見率はほぼ100%とされています。
診断: 検診の結果、細胞診クラスⅢa以上であったり、HPVに持続感染しているなど、精密検査の必要性があると判断された場合は精密検査を実施し、最終的な診断を行います。
精密検査ではまず、コルポスコープと呼ばれる拡大鏡を用いて子宮頸部粘膜表面を拡大し、観察するコルポ診と呼ばれる検査を行います。
その際3 - 5%の酢酸を子宮頸部に接触させそれによる変化をも所見とします。コルポ診で異常を疑う箇所がみられた場合、その部分の組織を採取し、組織診と呼ばれる病理学的検査を行い、確定診断を行います。
□異型性の治療法
異形成は程度に応じて
軽度異形成、
中等度異形成、
高度異形成に分類されます。
また、
上皮内癌も高度異形成と同様の取り扱いとなります。
軽度異形成: (CIN1) | 異形成が上皮の下層1/3に限局する扁平上皮内病変。
HPV 感染による細胞異型です。
HPVが自然消失すると、それに伴い異形成も自然治癒する可能性が高いため、通常は治療を実施しせず経過観察をします。
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中等度異形成: (CIN2) | 異形成が上皮の下層2/3までにとどまる扁平上皮内病変です。
日本国内での取り扱いは一定しておらず、過観察、または治療を行いますが、日本産科婦人科学会の治療指針では、16型、18型、31型、33型、35型、45型、52型、58型は癌化リスクが高く、治療を検討する指針となっています。
特に16型、18型、33型のリスクが高く、治療法は病変部位を含め、子宮頸部の一部分を円錐状に切除する円錐切除術が一般的です。
円錐切除術では子宮を切除することなく、ほぼ完治しますが、再発の可能性もあります。
子宮を残すことができるため、術後の妊娠・出産にもほとんど影響はないとされていますが頸管無力症などの合併症も報告されています。
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高度異形成: (CIN3) | 異形成が上皮の表層1/3に及ぶ扁平上皮内病変です。
上皮の層形成や極性の乱れは著しいけれども、完全に失われていない。
円錐切除術等により、治療を行います。
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上皮内癌: (CIN3) | 癌としての形態学的特徴をもつ細胞が上皮の全層に及ぶ扁平上皮内病変です。
この病変には、しばしば腺侵襲を伴いますが、これは浸潤としません。
円錐切除術等により、治療を行います。
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CIN1病変の約5~10%がCIN3以上の病変に進行しますが、50~60%は自然退縮し、残りの30~40%はCIN1が持続します。
CIN2では20%~30%がCIN3に進展します。
子宮頸部円錐切除術の方法と特性
子宮頸部円錐切除術には、
cold knife、
レーザー、
ハーモニックスカルペルを用いる方
法、そして
LEEP法があります。
各方法の特性、切開能力、凝固止血能力、蒸散能力は表に示すとおりです。
また、レーザーを用いる場合、cold knife による場合と異なり、Sturmdorf 縫合を行わないことから、平円柱上皮境界が頸管内に後退することが少ない。
子宮頸部円錐切除術後の再発
円錐切除術後の切除断端陽性(癌が完全に取けれていない)例での再発率は9~16%、切除断端陰性例での再発率は2~4%と報告されています。
切除断端陽性例でも子宮側の遺残病変がCIN2 以下であれば61%は経過観察中に自然消失するとの報告もあります。
しかし切除断端陽性、陰性にかかわらず厳重な経過観察が必要で、CIN3 の遺残や再発例では円錐切除術やLEEP を再施行し病理組織学的診断を行うことが重要です。
浸潤癌が疑われる場合など症例によっては子宮全摘出術も考慮すべきです。
なお、円錐切除術に加えて切除面に十分な蒸散を加えることにより、子宮側の病変遺残や再発を防止できるとの報告があります。
レーザー蒸散術や冷凍凝固療法後の再発
レーザー蒸散術や冷凍凝固療法では、組織標本が得られないため最終診断ができません。また、術前に子宮頸部上皮内病変(CIN) と診断されたもののなかには、少なからず上皮内癌を超えた病変が含まれる場合もあります。
CIN3 の保存療法後の長期経過観察例のなかでは冷凍凝固療法後の症例が、最も浸潤癌になるリスクが高率であることやレーザー蒸散術後の長期経過観察例でも少数ながら浸潤癌の発生もみられることから、レーザー蒸散術や冷凍凝固療法後のCIN3 の再発では、円錐切除術や子宮全摘出術を施行して最終組織診断を得ることがのぞましい。
□子宮頸がんの病期(ステージ)と治療法
子宮頸癌の進行期は軽度のものから順に0期、Ia1期、Ia2期、Ib1期、Ib2期、II期、III期、IV期に分類されます。
0期(上皮内癌)は癌が粘膜層にとどまっている段階であり、異形成と同様に円錐切除術で完治可能。
しかし、挙児希望がなければ子宮全摘術を行うこともある。
Ⅰa期(癌の浸潤が5mm以内のもの)までが初期癌とされています。
これら初期癌の根治的な治療法は単純子宮全摘出術ですが、将来妊娠を希望されるなどの理由で子宮の温存を希望をされる方で、病巣の範囲が狭い場合には、円錐切除術による保存的治療も積極的に行っています(ただし、以前はⅠa期は3mm以内と決められていました。
今は3mm以内を
Ⅰa1期、3から5mmのものを
Ⅰa2期として分けていまして、このIa2期の時にはより慎重に保存手術だけで良いのかどうか検討が必要です。
というのも、数ミリのわずかなことなのですが、癌というのは浸潤、つまり組織への入り込みの深さが深くなればなるほど、転移してゆく率が高くなるからで、この3ないし5ミリというのが、本当に微妙な深さなのです)。
また、0期で範囲がごく狭い場合には高周波による円錐切除術(LEEP)を外来で行うことも可能です。
このような子宮を残す手術の比率はどんどん増えていますが、円錐切除、LEEPで本当に手術を終えてよいのかどうかは、慎重に判断が必要です。
というのも、こういった手術は、当然取る範囲は小さくなっているわけですから、十分な余裕をもって癌が取れているのかどうか、しつこいほどに確認が必要なのです。
ただし、以上は頸癌のなかでも、
扁平上皮癌についてです。
腺癌は初期癌の段階での診断が難しく、個別の対応が必要です。
一般に腺癌は、扁平上皮癌よりも悪性度が高いのです。
非扁平上皮癌を対象とした研究は少なく、高いレベルのエビデンスも得られにくい為、慎重に治療しなくてはなりません。
これ以上進行した癌では、リンパ節転移などがみられるようになりますので、徹底的な治療が必要ですが、手術が可能なのは癌が骨盤壁に及んでいない
Ib期とII期で、III、IV期は放射線治療が第一の治療法となります。
また、
腺癌は扁平上皮癌よりも予後が悪く、さらに慎重な取り扱いが必要です。
Ⅰb期とⅡ期の手術は、癌が進展していくルートである子宮傍結合組織(子宮のまわりの組織)を含めて切除する広汎性子宮全摘出術(骨盤内のリンパ節の郭清を含む)が必要であり、また、この時期でもすでに大きく腫れた肉眼的にはっきりわかる骨盤内のリンパ節転移がみられることもあります。(術前の超音波診断で、ある程度キャッチできます)
このようなときには腹部の大動脈(背骨の前を走っている太い動脈)周囲のリンパ節(傍大動脈リンパ節)の郭清をも行う必要があります。(子宮に近い骨盤のリンパ節に転移したあとは、次第に上の方、頭の方へと癌の細胞は上ってゆきます。骨盤のリンパ節が大きく腫れるほどに多くの癌細胞が転移すれば、その上の傍大動脈リンパ節が心配になるのは当然のことでしょう)。
但し、子宮頚癌が卵巣に転移することは稀ですので卵巣の温存は一応可能です。
また、術後の組織検査で再発のリスクが高いと判断されるときには補助療法として放射線療法または化学療法を追加しますが、癌を全身病ととらえ、局所的な放射線療法も大事ではありますが、化学療法が補助療法として必要ではないかと考えます。
II期の大きな腫瘍は根治手術は困難となり、治療の主体は放射線治療となります。
III期以上の進行癌では放射線治療が主治療となりますが、治療機器の進歩にもかかわらず、放射線療法単独による治療成績は改善されていません。
進行癌に対して、まず化学療法を行って腫瘍を縮小させて(点滴で投薬する方法と、子宮動脈に直接薬を注入する動注療法があります)から、手術または放射線治療を行います。
この治療法は始められてから数年しか経過していませんので予後についての結論はでておりませんが、生存率の向上につながると期待しています。
また、このような進行癌でも、治療前の超音波診断でリンパ節転移がはっきり認められる場合とそうでない場合があり、治療方法にも工夫が必要であると考えます。
進行がんの病状
Ⅲa期 がん細胞は腟の下1/3まで拡がっていますが、骨盤壁までは拡がっていません。
Ⅲb期 がんは骨盤壁まで拡がっている。
または、腫瘍は尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)を塞ぐほど大きくなっています。この閉塞により腎臓が肥大したり、機能しなくなったりすることがあります。
または、がんは骨盤壁まで拡がっていて、尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)を塞ぐほど大きくなっています。
Ⅳ期 がんは膀胱、直腸または体の他の部分にまで拡がっています。
IV期はがんが認められる場所によって、IVA期とIVB期に分けられます。
IVA期では、がんは膀胱、直腸などの隣接臓器まで拡がっています。
IVB期では、がんは肝臓、肺、骨または遠隔リンパ節など、身体の他の部位にまで拡がっています。
再発性子宮頸がんに対する治療法
再発性子宮頸がんの治療法には次のようなものがあります。
骨盤内臓全摘術のあとに、放射線療法と化学療法の併用。
がんによる症状を和らげ生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を改善する緩和的治療として、化学療法を行います。
子宮頸がんの予後因子
予後因子として重要なものは、腫瘍側からは組織型、臨床病期、腫瘍の大きさ、子宮傍結合織への浸潤の程度、膣浸潤の程度、リンパ節転移の有無・程度、脈管浸潤の有無・程度などがあげられます。
宿主側からは年齢、全身状態、合併症の有無、貧血の有無と程度、腫瘍マーカー値などが挙げられます。
子宮頸がんの主な外科療法(術式)
円錐切除術
子宮頸部を円錐状に切除する方法で、子宮頸癌の進行具合を調べるための検査としても行われます。
切除した組織を顕微鏡を使って詳しく検査し、それ以上がんが拡がっていなければこの時点で治療は終わります。
しかし、0期またはIa1期であると考えて円錐切除術を行ったが実際にはIa2期以上だった子宮頸がんの場合には広汎子宮全摘出術が必要になります。
術後は妊娠できますが、頸部が切除されるため子宮口が広がりやすく流産の危険性が若干ですが高くなります。
レーザー蒸散術
上皮内がんに適応となる治療法で、がんにレーザーを照射して焼き殺す治療です。
妊娠・出産への影響が少ないのが利点ですが、がんは消滅してしまうため組織をとって調べることができないため浸潤が疑わしい場合には円錐切除術を選択するのが無難といえます。
単純子宮全摘出術
Ia1期までのごく初期の子宮頸癌の場合には子宮だけを摘出する単純子宮全摘出術が行われます。
閉経後の人では卵巣も一緒にとる場合もあります。
開腹して行う方法(腹式)と、膣から摘出を行う方法(膣式)がありますが、腹式の方が確実性が高いため通常は腹式となりますが、上皮内がんの場合には膣式で行われることもあります。膣式は傷跡が小さく、術後の開腹も早くなるメリットがあります。
拡大子宮全摘出術
Ia1期の子宮頸がんが適応になる手術で、子宮とともに周囲の組織や膣の一部などを切除します。
骨盤内のリンパ節を切除することもあります。
広汎子宮全摘出術
Ia2、Ib、II期の子宮頸がんに適応される手術です。
子宮とともに膣や卵巣、卵管など周囲の組織も広い範囲で切除します。
がんがリンパ節にも転移している危険性が高いので骨盤内のリンパ節の切除も同時に行います。
骨盤内臓全摘出術
がんが子宮頸部ばかりでなく女性性器外に拡がっていると、子宮・膣とともに下部結腸、直腸、膀胱も切除する必要が出てきます。
これを骨盤内臓全摘術といいます。
術後は人工肛門や尿路を再建する回腸導管、膣を再建する造膣術などの形成手術が必要となります。
子宮頸癌(扁平上皮癌)の放射線治療
子宮頸癌は原則として外部照射と腔内照射の併用で治療します。
外部照射とは、リニアック等の大型の放射線治療装置を用いて、体外から体内のがん病巣に放射線を照射して治療する方法です。
外部照射の治療範囲は、子宮の病巣から腫瘍が進展する可能性のある膣、子宮傍結合織、骨盤リンパ節までを含めた広い領域とします。図はリンパ管造影の写真に照射野を重ねたものです。骨盤リンパ節(内・外・総腸骨節)は照射野に含まれています。
腔内照射とは、子宮腔内および膣腔内に線源(自然に放射線を出す物質)を直接挿入し、子宮頸部の主病巣に集中的に大線量の照射をする治療法です。
治療の経過観察
MRI,超音波、肉眼、顕微鏡、腫瘍マーカー(SCC・扁平上皮癌)で治療効果の判定をします。
□子宮頸がんの治療をはじめるにあたり
子宮頸がんの治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 最終的な治療方法を患者さんが主体となって決定する時代になりつつあります。
子宮頸がんの治療をはじめるにあたり「
がん(癌)治療の知識と情報」に詳しくまとめましたので参考にしてください。
また医療の進歩とともに治療方法も多様化してきており、 医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンドオピニオンを求めることが必要な時代になってきました。
詳しくは「
インフォームドコンセント」と「
セカンドオピニオン」をご覧下さい。
□癌(がん)の何が生命を脅かすのか
癌(がん)関連遺伝子(癌遺伝子と癌抑制遺伝子)という遺伝子群の遺伝子の変異(2個~10個)が遺伝子産物(変異タンパク質)を産生します。
遺伝子産物(変異タンパク質)は生体の生命維持に重大な支障を与え、多臓器不全や身体の衰弱を招きます。
遺伝子産物(変異タンパク質)こそ癌(がん)が生命を脅かす元なのです。
□がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)の生体に対する影響
がん化した細胞の種類や発生した部位により産生される物質も異なり、がんの病態や悪性度が規定されます。
また、同じ腫瘍内にあるがん細胞でも、クローン増殖(転写)するがん細胞の増殖スピードが早く、悪性度が高い、そして同じ腫瘍内に多くのクローンが混在していると考えられます。
抗癌剤等の薬剤治療により、クローンが死滅しても別のクローンが特別な物質(薬剤耐久性遺伝子産物(薬剤治療が効かなくなる))を産生し、薬剤や免疫(免疫回避機構)に依る治療等からすり抜ける術を獲得します。
がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)は細胞内に産生される物質と細胞外へ産生される物質があり、細胞内にはシグナル伝達関連タンパク質、細胞外には増殖因子、癌胎児性タンパク質(CEA、AFP)、酵素、ホルモン、サイトカイン等です。
この様な事に依り、がん細胞が無知秩序で抑制不能な細胞増殖や転移、がん細胞のアポトーシス抑制(がん細胞の不死化)やがん周囲の血管新生等の能力を獲得します。
生体に対しては、全身の代謝異常、消化器機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)、炎症誘導、発熱、悪液質(食欲低下、体重減少)、高カルシウム血症等、腫瘍随伴症候群と呼ばれる癌(がん)が産生した物質が血流に入って体内を循環する事で起こる症候群、特に病期(ステージ)の進んだ末期癌に多く見られます。
□癌(がん)を克服するには次の様なことが行われなければなりません
「抗炎症」「変異物質の抑制」「免疫細胞の活性」「癌細胞の死滅」「血液の改善」「クローン阻止」「活性酸素の消去」「代謝異常の改善」等を総合的に行わなければ癌(がん)克服の道筋は見えないのです。
漢方医学療法は、これら問題に対し学術的に裏付けられる療法なのです。
漢方医学療法に関心がある方は
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