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膀胱がん・膀胱癌治療の知識と情報

膀胱がん・膀胱癌における漢方医学療法

漢方医学療法研究会は漢方医学療法が、がん闘病者の治療の福音になればと研究を重ねてきました。
漢方医学療法の作用の一部を闘病者の声として頂いており、声の中から重要度の高い項目に関しての資料をご用意しました。
当研究会の研究成果や実績については「漢方医学療法のがん治療研究における成果」をご覧ください。

医療相談

膀胱がん(膀胱癌)ステージの進んだ3期、4期(末期)の膀胱がん(膀胱癌)では次の様な転移や症状が見られます。
骨盤内組織への浸潤、骨盤壁、腹壁への浸潤、リンパ節転移、骨転移、肺転移、肝臓転移、胸膜転移、脳転移、腹膜転移、副腎転移、骨髄転移、皮膚転移、胸水、腹水、むくみ、食欲不振、全身の倦怠感、不眠、咳、痰、息苦しさ、痛みなど。

膀胱がん(膀胱癌)治療に不安や行き詰まりを感じたり、化学療法(抗がん剤治療)の副作用の軽減、全身状態の改善、QOL(生活の質)の向上、延命、治癒を目指す膀胱がん(膀胱癌)の治療法を検討されている方。
お問い合わせをお考えの方はまず「漢方医学療法を始めるにあたって」をご覧ください。

西洋医学との併用、あるいは西洋医学以外のアプローチ方法もございますので、膀胱がん(膀胱癌)治療の無料相談よりお問合せ下さい。

膀胱がん(膀胱癌)とは

膀胱がんは膀胱上皮が悪性変化したもので、膀胱内に多発性に発生することが多く、男女比では約3倍男性に多いがんです。
加齢とともに発生頻度が増加し、発症する方の80%が60歳以上と比較的高齢者に多いがんです。

膀胱がんの原因としては喫煙があげられ、喫煙者は非喫煙者の2-3倍の膀胱がんの発がん率と言われています。
また化学物質や染料を使用する職業にも発生率が高いと言われています。
膀胱がんの病理学的特徴は、その約90%が尿路上皮がんです。

また、がんの組織学的異型度はグレード1、2、3で示され、グレード3が一番悪性度が高く、早期に浸潤転移しやすいとされております。

膀胱がんには、いくつかの組織型がありますが、90%以上のがんは、膀胱の移行上皮から発生する移行上皮がんです。
移行上皮がん以外には、まれですが扁平上皮がんや尿膜管がんに代表される腺がんが発生することがあります。

表在性膀胱癌と浸潤性膀胱癌
表在性膀胱癌は、悪性度の低い癌で、膀胱の内腔(膀胱の内面)に突出しますが、根は浅く、表面は乳頭状(カリフラワー様)で狭い茎を持っています。
膀胱癌の70%はこのタイプです。
内視鏡的で治療できますが、半数以上の方が膀胱内に再発します。
癌の深さは粘膜の下に及ぶ場合もありますが、膀胱の筋肉の層には達していません。

また、その他肉眼的に腫瘍が確認できない上皮内がん(Carcinoma in Situ: CIS)と呼ばれるタイプがあります。
これは、悪性度が高く、その約50%が浸潤性膀胱がんに移行しやすいため注意が必要です。

浸潤性膀胱癌は、悪性度が高く、根が深く膀胱壁の深くまで達しており、転移もしやすくなります。
このため、内視鏡手術で治療することは難しく、膀胱摘出手術や抗がん剤などの身体に負担のかかる治療が必要になります。

膀胱がん(膀胱癌)の原因

膀胱がんは遺伝子の病気であることがあきらかになってきました。
様々な原因により遺伝子に傷がついて、癌になると考えられています
がん(癌)の知識と情報・がん(癌)は遺伝子の病気を参照)。

膀胱癌の危険因子としては以下のようなものが考えられています。
喫煙:タバコを吸わない人に比べて発生頻度は4-7倍高くなります。
タバコに含まれる60種類もの発がん物質のうちいくつかの物質が作用することで癌化を引き起こすとかんがえられています。

化学物質:職業性膀胱癌の原因です。有機化学物質を扱う職業の人で、癌の発症リスクが増加すると報告されています。
1895年に初めて、膀胱発癌と化学染料との関係が報告されました。
それ以降、様々な原因物質がみつかり、これらを職業性に曝露された人は有意に膀胱癌の発生率が高いことがわかりました。

膀胱結石/慢性炎症:膀胱結石や慢性の炎症がある場合もかかりやすいと言われています。これは、慢性の刺激が膀胱粘膜に加わることで発癌を引き起こす可能性が考えられています。

がん(癌)の知識と情報 発がん(癌)の原因はなにか?親電子性物質は、環境ストレスを高めますがん(癌)のイニシエーター 慢性炎症を参照下さい。

膀胱がん(膀胱癌)の症状

痛みなどの症状を認められない血尿が最も膀胱がんを疑う症状としてあげられます。
特に見た目に尿に血が混じっている場合は、より可能性が高いと考えられます。
また、血尿といって見た目には血尿がわからないですが、顕微鏡で調べるとわかる場合も、この疾患の可能性があり専門医の検査が必要です。
他には、膀胱炎様症状、排尿時痛、頻尿や残尿感などが続く場合もあります。

血尿で考えられる病気
腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道の尿が通過する臓器におけるがん、結石、外傷、 膀胱炎などの泌尿器科疾患で起こる場合と、各種の腎炎、ネフローゼ症候群あるいは出血性素因などの内科的疾患により起こる場合もあります。

血尿は、泌尿器科領域では最も重要な症状です。
特に、痛みや頻尿などの症状がないのに見た目に尿が赤色あるいは茶色になっている場合は、膀胱がんなどの尿路悪性腫瘍の可能性があり、泌尿器科医の診察を出きるかぎり早く受けることをお勧めします。

膀胱がん(膀胱癌)の検査と診断

尿細胞診
尿中に、癌細胞が入っていないかどうかを顕微鏡で検査するものです。
体に負担のかからない検査ですが、必ずしもすべての膀胱癌を診断できるとは限りません。特に、悪性度の低い癌では、尿に癌細胞が落ちてくることは少ないため確実な検査とはいえません。
しかし、上皮内癌では、細胞がはがれやすいため、陽性率は高くなります。

膀胱鏡検査
現在では最も確実性の高い検査です。尿道からファイバースコープを挿入して膀胱内を観察する検査で、男性では多少の痛みを伴うのが難点ですが、ファイバースコープの改良により検査の苦痛は格段に軽減してきました。

生検
膀胱鏡検査の際に、膀胱癌らしきものを見つけたとき、鉗子と呼ばれる小さなはさみを使って組織の一部を採取し病理組織学的に検査する方法です。
がんの組織型や悪性度を診断することができます。
また、肉眼的にわからない上皮内癌(CIS)と呼ばれるものは、この方法で粘膜を採取することで診断できます。

排泄性尿路造影検査
造影剤を腕から点滴して、その後何枚かレントゲン写真をとります。
この検査では、腎臓、尿管、膀胱が造影されるため、膀胱よりも上の尿路にできた癌を見つけだすのに使用します。

超音波検査(エコー)
この検査は、膀胱に尿を溜めた状態で行います。
エコーをお腹にあてるだけですので、体への負担は殆どありません。
しかし、大きな膀胱癌は検出できますが、小さいものは見落とすことが多いのが欠点です。また、この検査は、膀胱だけでなく腎臓も一緒に検査することができます。

CT検査(コンピュータ断層撮影)
この検査は、造影剤を使いながら、体を輪切りにしたような画像を得ることができます。この検査を行うことで、癌が膀胱壁のどこまで癌が進展しているか、リンパ節などへの転移の有無をある程度まで診断できます。

MRI(磁器共鳴画像検査法)・骨シンチグラフィー検査
癌の進展度により行う検査です。

膀胱がん(膀胱癌)の病期診断(TNM分類)

原発腫瘍の壁内進達度
T0 腫瘍なし
Ta 非浸潤性乳頭癌
Tis 上皮内癌
T1 粘膜下結合組織までの浸潤
T2 筋層への浸潤
T2a 筋層半ばまで
T2b 筋層半ばを越える
T3 膀胱周囲への浸潤
T3a 顕微鏡レベルの浸潤
T3b 肉眼的レベルの浸潤
T4 前立腺、子宮、膣、骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤
T4a 前立腺、子宮、膣のいずれかに浸潤
T4b 骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤

所属リンパ節転移
N0 リンパ節転移なし
N1 2cm以下の1個の所属リンパ節転移
N2 2cmを超え5cm以下の1個の所属リンパ節転移または
5cm以下の複数の所属リンパ節転移
N3 5cmを超える所属リンパ節転移

遠隔転移
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり

膀胱がん(膀胱癌)の予後(見通し)

表在性の膀胱癌は致命的になることは稀ですが、この癌は膀胱内に多発し、何度も再発することが特徴です。
そのため、定期的に検査を行い、経過観察していかなければなりません。
また、再発を繰り返すうちに約15%は浸潤性癌へと性質が変化し、膀胱を摘出することになりますので注意が必要です。

浸潤性膀胱癌で手術を受けた場合の5年生存率はだいたいT1で80%、T2で70%、T3で50-60%、T4で40%、リンパ節転移がある場合は30%です(病期の項を参照してください)。

膀胱がん(膀胱癌)の治療を始めるにあたって

膀胱がん(膀胱癌)の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 最終的な治療方法を患者さんが主体となって決定する時代になりつつあります。

膀胱がん(膀胱癌)の治療をはじめるにあたり「がん(癌)治療の知識と情報」に詳しくまとめましたので参考にしてください。

また医療の進歩とともに治療方法も多様化してきており、 医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンドオピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームドコンセント」と「セカンドオピニオン」をご覧下さい。

がん治療の知識と情報の「がん治療法を選択するに際してのアドバイス」を是非参照ください。

膀胱がん(膀胱癌)の治療

筋層非浸潤性膀胱癌の治療
膀胱がん(膀胱癌)と診断された約70%は筋層非浸潤性膀胱癌が占め、基本的に初期治療として経尿道的切除術(Transurethral resectionof the bladder tumor:TURBT)による膀胱温存を目指した治療方針がとられます。
しかし、TURBTで完全切除が困難な癌細胞に対する治療目的、あるいは術後の再発予防目的で、種々の抗癌剤やBCGの膀胱内注入療法が行われます。

すなわち、筋層非浸潤性膀胱癌の治療上の最大の問題点は、TURBT後に膀胱内への癌再発及び再発の癌が筋層浸潤性癌になったり上部尿路癌が発生したりするなどの進展がみられることで、この再発と進展を可能な限り抑制することが重要な課題です
その為には、まずTURBTで癌の完全切除が要求され、もし癌細胞の取り残しが疑われる場合には二回目の経尿道的切除術(TURBT)も検討されます。
その上で、膀胱癌の臨床的ならびに病理学的因子から、再発と進展を予知して、手術後の治療戦略を立てることが必要です。

TURBTはどこまで切除するのがよいか
TURBTにおいては、目に見える癌を可能な限りすべて切除することです。
切除切片に筋層が含まれ、そこに癌細胞のないことが確認されなければ、筋層非浸潤性膀胱癌と診断できません。
また、病巣周辺部位の検索も必要です。

筋層非浸潤性膀胱癌 TURBTの初期治療後
低再発・進展リスク腫瘍では、術後3カ月で膀胱鏡を行い、陰性所見ならば9カ月後に施行し、以降5年まで年1回行うことが望ましい。

逆に、高進展リスク腫瘍では、3カ月の膀胱鏡が陰性所見ならば、以降2年までは3カ月ごと、3年までは4カ月ごと、5年まで6カ月ごと、その後は年1回膀胱鏡を行い、並行して年1回の上部尿路検索が望ましい。

さらに,中進展リスク腫瘍では,これらのfollow-upプロトコールを参考に、個々の症例に応じて大体中間になるようなプロトコールを計画することが望ましい。

TURBT後に膀胱内に所見がなく尿細胞診陽性が持続した場合
前立腺部尿道のTURBT生検を含むランダム生検および両側上部尿路尿細胞診や必要に応じて尿管鏡検査による上部尿路の検索が望ましい。

低再発および低進展リスク癌であっても、TURBTのみでは再発率が45%程度にみられると報告されています。

これを予防する対処が必要です。 そこで、TURBT後の抗癌剤即時単回注入の有用性がランダム比較試験で検証されており、これらの癌細胞の解析でも、即時単回注入の再発予防効果が確認され、これらの薬剤間での優劣はありません。

さらに,抗癌剤即時単回注入は、昨今の医療事情を考慮して費用対効果の面でも重要であるとされています。
しかし、多発性腫瘍では単回注入のみでは不十分であることが示されており、あくまで低リスク腫瘍に対する標準的治療と考えられます。

薬剤を注入するタイミングは、術後6時間以内とする報告が多い。
EAUおよびNCCNガイドラインでは、TURBT後24時間以内の注入が望ましく、TURBT当日の注入でなければ再発の相対危険度が2倍になるといわれています。

中リスク筋層非浸潤性膀胱癌に対して抗癌剤維持投与
中リスク癌に対しても、低リスク癌と同様、まずはTURBT後の抗癌剤即時注入が望ましいが、再発よび進展のリスクが高くなることから即時単回注入のみでは不十分ですので、引き続いて抗癌剤の膀注療法が必要となります。

高リスク筋層非浸潤性膀胱癌に対するTURBT後の補助療法
高リスク筋層非浸潤性膀胱癌に対するTURBT後の補助療法としてのBCG注入は、再発のみならず進展も抑制することが確認されています。
しかし、問題はその副作用です。
強い副作用のため1コース完遂(完遂率 16%)できない例もしばしばで、そのためにBCGの低用量注入に関する検討が以前より行われてきましたが、結論は得られていません。

低・中リスク筋層非浸潤性膀胱癌再発の治療
膀胱鏡で腫瘍が明らかな場合はまずTURBTを行い、再発時の腫瘍の再発、進展のリスクに基づいて後の治療を考える必要があります。
特に、直近の癌細胞が中リスクで、TURBT後にBCGあるいは抗がん剤(MMC・マイトマイシンC)の膀胱注入療法後の再発例では、再発時のTURBTの結果でたとえ悪性所見が認められなくても、BCG維持注入がオプションに入り、TisあるいはTa腫瘍では、膀胱注入薬剤の変更あるいは膀胱全摘除術が、T1 high grade癌細胞では膀胱全摘除術が望ましい。

高リスク筋層非浸潤性膀胱癌再発の治療
2コースまでのBCGあるいはMMCの膀胱注入療法を行ってTURBTを行い、癌細胞がなければオプションとしてBCG維持注入療法、TisあるいはTa腫瘍の場合は膀胱注入薬剤の変更、もしくは膀胱全摘除術、T1 highgrade腫瘍の場合は膀胱全摘除術をすることが望ましい。

高リスク筋層非浸潤性膀胱癌に対する膀胱全摘除術のタイミング
2コース BCG注入療法後の評価で残存腫瘍が疑われる症例などは、膀胱全摘除術が望ましい。

膀胱がん(膀胱癌)・上皮内癌の治療
上皮内癌に対する最初の治療として一般にBCG膀胱内注入療法が行われていますが、このBCG膀胱内注入療法のレジメを検討したエビデンスの高いrandomized controlled study(RCT・ランダム比較試験))はありません。
しかし、現時点では、上皮内癌に対するBCG膀胱内注入療法が、週1回の6~8週間投与で治療がおこなわれています。

上皮内癌に対する膀胱全摘除術のタイミング
1コースが一般的に行われているので、2コース目のBCG膀胱内注入療法が無効であった時点で膀胱全摘除術を行います。

筋層浸潤(ステージⅡ)・局所浸潤癌(ステージⅢ)の診断と治療
未治療膀胱癌の約 30%は筋層浸潤膀胱癌かあるいはそれ以上に進展した進行癌です。
これら以外に,筋層非浸潤癌から筋層進展をきたした癌がこの群に含まれます。

筋層浸潤(ステージⅡ)あるいは局所浸潤癌(ステージⅢ)の診断(臨床病期診断)には膀胱鏡、画像診断、経尿道的膀胱腫瘍切除(TURBT)が用いられます。
なお、今後筋層浸潤あるいは局所浸潤癌をまとめて筋層浸潤癌と言う事にします。

筋層浸潤を正確に診断するためにはTURBTが最も優れた診断方法であり、そのためには筋層まで十分に切除することが不可欠です。

リンパ節転移あるいは遠隔転移の検査方法
リンパ節転移の診断にはMRIの方がCTより優れていますが、いずれもリンパ節の腫大の程度に左右されます。
肺転移の診断にはCTが用いられ、骨転移の診断には骨シンチグラフィーが用いられます。

筋層浸潤癌の標準治療
筋層浸潤癌(局所浸潤癌も含めて)の標準治療は根治的膀胱摘除術+骨盤リンパ節郭清術(+尿路変向)です。
この標準治療に際して重要なのは正確な病期診断と適切な患者選択です。

根治手術と姑息的手術(TURBT単独あるいは膀胱部分切除単独)の治療
膀胱部分切除単独あるいはTURBT単独による膀胱温存は、筋層浸潤癌に対する標準治療ではありません。
根治的膀胱摘除術などの根治治療が適応にならない患者が対象です。
積極的に温存を図る場合には、これらの治療と化学療法あるいは放射線療法(あるいは両者の併用)の併用による集学的治療が不可欠です。

根治手術とは:再発しない様に手術する事。

TURBT、膀胱部分切除術などの外科的治療の筋層浸潤癌に対する効果は限定的であり、標準治療とはみなされていません。
一方、化学療法単独あるいは外照射単独の効果も十分ではありません。
したがって、これらの単独療法のみでは膀胱温存は可能であっても、癌の制御という点ではその効果は不十分です。
筋層浸潤癌に対する膀胱温存はそれぞれの治療を組み合わせる集学的治療として行う必要があります。

根治的膀胱摘除術+リンパ節郭清術
臨床的にリンパ節転移を認めない筋層浸潤膀胱癌に対する標準治療ですが、リンパ節郭清の範囲を拡大することの利点は完全には検証されていません。
根治的膀胱摘除術+リンパ節郭清術を行った 4,110 例を集計した検討(8 つの報告)では、リンパ節転移は 24%に認められました。

根治的膀胱摘除術+リンパ節郭清術(尿路変向も含む)の合併症に関しては、手術に伴う死亡率は時代とともに減少し、最近の報告では 4%以下です。
早期合併症(術後 1 カ月以内)の頻度に関しては、30-40%と報告されていますが、重篤なものは 10%以下です。

根治手術後の再発
根治的膀胱摘除術後の局所再発は、単独と遠隔転移併存とそれぞれ10%にみられます。
単独の再発は術後2年以内が多く5年経過後も出現します。
摘出リンパ節個数、範囲との関係は明確ではありませんが、局所再発に対しては集学的治療が行われますが、その効果は不良です。

尿道摘除の適応症例
回腸新膀胱などの自排尿型の尿路再建を考慮した場合の尿道摘除の絶対適応は、前部尿道に腫瘍がある場合と根治的膀胱摘除術の際の迅速病理検査で尿道切除縁に腫瘍性病変が存在する場合です。

ただし、このような尿路再建を行わないような場合には、上記要因以外にも膀胱上皮内癌、多発腫瘍などの存在は、尿道摘除を考慮すべき要因です。

根治手術における神経温存の適応症例
神経温存手術の厳密な適応基準は設定されていないが、神経温存で根治性が損なわれないと判断される場合には適応があります。
神経温存により術後の尿禁制(自排尿型の尿路再建の場合)、勃起機能が維持されやすくなります。

周術期化学療法の利点と欠点
筋層浸潤性膀胱癌に対する根治的膀胱摘除術の治療成績では、pT2であれば70-80%以上の5年生存率が報告されていますが、pT3以上の局所進行癌では生存率が明らかに低下します。

膀胱がん(膀胱癌)・ステージⅣの診断と治療
ステージⅣの膀胱癌は、転移病巣はないが骨盤壁あるいは腹壁まで浸潤したとき(T4bN0M0)、あるいはT分類に関係なくリンパ節転移か遠隔臓器転移が存在している場合と定義されます。
局所浸潤や転移病巣の有無は,胸・腹部,骨盤部CTスキャンあるいはMRI検査,骨シンチグラフィーなどで確定診断がされます。

通常、この状態においては根治を期待することは困難で、何らかの併用療法を駆使し、日常生活上のQOLを維持した延命あるいは症状緩和が治療目標になります。
腫瘍が骨盤壁まで進展した事例では、単独療法として膀胱全摘除術が選択されることはなく、化学療法単独あるいは化学療法と放射線治療の併用が積極的な延命をめざした治療法として考えられます。

全身化学療法の治療効果
・転移性または再発性膀胱癌に対するM-VAC療法
(メトトレキセートを、治療第2 日目にビンブラスチン、アドリアシン、シスプラチン)の有効性
奏効期間が短期間であり、長期の生存が期待できないことが大きな問題となっています。
有害事象も比較的多い。

HD M-VAC療法(メソトレキセート、ビンブラスチン、:塩酸ドキソルビシン、:シスプラチン)
著明な治療成績の改善は認められません。

GC化学療法(ゲムシタピン、シスプラチン)
効果は、HD M-VAC療法と同等ですが、有害事象が比較的軽微であることからGC療法が第一選択の化学療法となっています。

化学療法の有用性についてはまだきちんと評価された大規模RCTがなく、その有用性についてはまだ一定の見解が得られていません。

緩和療法
あらゆる臨床病期において,手術療法,化学療法,放射線治療が駆使され、根治が得られないときには、やがて積極的治療を断念し症状緩和を目標とする治療にいたります。
その場合,病巣の進展とともに、さまざまな症状が出現するため、状況に合せた症状緩和対策が考えられなければなりません。

①蓄尿・排尿などの膀胱機能障害(血尿、頻尿、排尿痛、膀胱テネスムス、膀胱タンポナーゼなど)
②尿管閉塞による水腎症、腎後性腎不全が重要な問題になります。
③骨盤内での局所進展による骨盤・会陰部痛,排便障害、下肢浮腫などが出現します。
④肺・骨・肝などの遠隔臓器への転移病巣が増大すると,それぞれの臓器機能障害を惹起します。

参考文献:膀胱がん診療ガイドライン
膀胱がん(膀胱癌)克服のキーポイント
膀胱がんの70%以上を占める、筋層非浸潤性膀胱癌の治療上の最大の問題点は、TURBT後に膀胱内への癌再発及び再発の癌が筋層浸潤性癌になったり上部尿路癌が発生したりするなどの進展がみられることで、この再発と進展を可能な限り抑制することが重要な課題である事は、前述の通りです。

また、再発予防治療の激しい副作用に耐えても思うような効果が期待できないのが現状です。
膀胱がんの再発予防をご検討されている方は、膀胱がん(膀胱癌)治療の無料相談よりお問い合わせ下さい。

強力な化学療法に対する副作用対策

強力な化学療法を行えば当然副作用も強く、白血球の減少による感染症、血小板の減少による出血などがおこりやすくなります。
白血球や赤血球、血小板などが低下することを骨髄毒性(骨髄抑制)といいます。

骨髄抑制により身の回りを清潔に保ちウイルスや細菌などの感染を予防する必要があります。また免疫の低下により帯状疱疹もできやすく、しかも悪化しやすくなります。

治療中は規則正しい生活を送り、免疫力を維持すること、および骨髄抑制からできるだけ早く回復するよう心がけが必要となります。

抗がん剤治療の副作用を軽減し、QOL(生活の質)を維持・向上することを目指した治療について関心がある方は、膀胱がん(膀胱癌)治療の無料相談よりお問い合わせ下さい。

癌(がん)の何が生命を脅かすのか

癌(がん)関連遺伝子(癌遺伝子と癌抑制遺伝子)という遺伝子群の遺伝子の変異(2個~10個)が遺伝子産物(変異タンパク質)を産生します。

遺伝子産物(変異タンパク質)は生体の生命維持に重大な支障を与え、多臓器不全や身体の衰弱を招きます。
遺伝子産物(変異タンパク質)こそ癌(がん)が生命を脅かす元なのです。

がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)の生体に対する影響

がん化した細胞の種類や発生した部位により産生される物質も異なり、がんの病態や悪性度が規定されます。

また、同じ腫瘍内にあるがん細胞でも、クローン増殖(転写)するがん細胞の増殖スピードが早く、悪性度が高い、そして同じ腫瘍内に多くのクローンが混在していると考えられます。
抗癌剤等の薬剤治療により、クローンが死滅しても別のクローンが特別な物質(薬剤耐久性遺伝子産物(薬剤治療が効かなくなる))を産生し、薬剤や免疫(免疫回避機構)に依る治療等からすり抜ける術を獲得します。

がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)は細胞内に産生される物質と細胞外へ産生される物質があり、細胞内にはシグナル伝達関連タンパク質、細胞外には増殖因子、癌胎児性タンパク質(CEA、AFP)、酵素、ホルモン、サイトカイン等です。

この様な事に依り、がん細胞が無知秩序で抑制不能な細胞増殖や転移、がん細胞のアポトーシス抑制(がん細胞の不死化)やがん周囲の血管新生等の能力を獲得します。

生体に対しては、全身の代謝異常、消化器機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)、炎症誘導、発熱、悪液質(食欲低下、体重減少)、高カルシウム血症等、腫瘍随伴症候群と呼ばれる癌(がん)が産生した物質が血流に入って体内を循環する事で起こる症候群、特に病期(ステージ)の進んだ末期癌に多く見られます。

癌(がん)を克服するには次の様なことが行われなければなりません

「抗炎症」「変異物質の抑制」「免疫細胞の活性」「癌細胞の死滅」「血液の改善」「クローン阻止」「活性酸素の消去」「代謝異常の改善」等を総合的に行わなければ癌(がん)克服の道筋は見えないのです。

漢方医学療法は、これら問題に対し学術的に裏付けられる療法なのです。
漢方医学療法に関心がある方は膀胱がん(膀胱癌)治療の無料相談よりお問い合わせ下さい。