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胆道がん・胆嚢(のう)癌・胆管がん治療の知識と情報

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胆道がん・胆嚢(のう)癌・胆管がんにおける漢方医学療法

漢方医学療法研究会は漢方医学療法が、がん闘病者の治療の福音になればと研究を重ねてきました。
漢方医学療法の作用の一部を闘病者の声として頂いており、声の中から重要度の高い項目に関しての資料をご用意しました。
当研究会の研究成果や実績については「漢方医学療法のがん治療研究における成果」をご覧ください。

医療相談

胆道がん・胆嚢癌(のう)・胆管がん ステージの進んだ3期、4期(末期)の胆道がん・胆嚢癌・胆管がんでは次の様な転移や症状が見られます。
肝臓転移、リンパ節転移、膵臓転移、十二指腸転移、腹膜播種、黄疸、腹水、体重の減少、食欲不振、痛みなど。

胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの治療に不安や行き詰まりを感じたり、化学療法(抗がん剤治療)の副作用の軽減、全身状態の改善、QOL(生活の質)の向上、延命、治癒を目指す胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの治療法を検討されている方。
お問い合わせをお考えの方はまず「漢方医学療法を始めるにあたって」をご覧ください。

西洋医学との併用、あるいは西洋医学以外のアプローチ方法もございますので、胆道がん・胆嚢癌・胆管がん治療無料相談よりお問合せ下さい。

胆道がん・胆嚢(のう)癌・胆管がん・乳頭がん・肝内胆管癌とは

胆道は胆汁を一時的に蓄える胆嚢と十二指腸へとつながる胆管とにわけられます。
胆汁は脂肪の消化を助ける消化液で、胃の中に食物が入ると、胆嚢から十二指腸へ胆汁が流れますが十二指腸への出口には乳頭部があり、胆汁が出過ぎないよう普段は閉じられています。

これら胆汁の通り道である胆嚢にできるがんを胆嚢がん、胆管にできるがんを胆管がん、乳頭部にできるがんを乳頭がんと言い、この三つをまとめて胆道がんとよびます。
また、肝臓内の胆管に出来たがんを肝内胆管癌と言う場合もあります。

胆嚢(たんのう)は消化に必要になるまで胆汁を蓄積する洋梨形の器官で、胆管(胆道)によって肝臓と十二指腸に接続しています。

胆汁は、肝臓で生成される黄褐色でアルカリ性の液体で、肝細胞で絶えず生成され、総肝管を通って胆のうに一時貯蔵・濃縮されます。
食事時に胆のうが収縮され、総胆管の十二指腸開口部であるオッディ括約筋が弛緩し十二指腸に排出されて働きます。
胆汁は3つに分類される。
A胆汁(胆管胆汁) - ファーター乳頭から分泌する
B胆汁(胆のう胆汁) - 胆嚢で濃縮
C胆汁(肝胆汁) - 肝細胞で産生

胆汁の働き
胆汁は1日に約600ml分泌される。胆汁酸と胆汁色素を含み、前者は界面活性剤として食物中の脂肪を乳化して細かい粒とし、リパーゼと反応しやすくすることで脂肪の消化吸収に重要な役割を果たしますが、消化酵素は含まれません。
胆汁酸脂肪を乳化して消化酵素の働きを助け、更に脂肪の分解産物に作用して小腸から吸収されやすく変化させます。
また腸内に分泌された胆汁酸の殆どは小腸(回腸)で再吸収され、肝臓に戻されます(腸肝循環)。

胆汁色素破壊された赤血球から遊離したヘモグロビンのタンパク質部分から切り離されたヘムが、肝臓の細胞で代謝され黄色のビリルビンに変化し、ビリルビンは肝臓でグルクロン酸抱合を受けて水溶性が高められて胆汁色素として胆汁とともに分泌されます。

ビリルビンの大半は腸内で腸内細菌によりウロビリノーゲンに還元され、その一部が体内に再度吸収され、ウロビリノーゲンは抗酸化作用を有し、これが体内で酸化を受けると黄色のウロビリンに変化します。
通常の尿の黄色はウロビリンによるものです。
これらの循環は腸肝ウロビリノーゲンサイクルと呼ばれています。

一方、腸内に残ったウロビリノーゲンは腸内細菌によりステルコビリノーゲンに還元され、ステルコビリノーゲンが酸化を受けると茶色のステルコビリンに変化し、ステルコビリンは大便とともに排泄され、大便の茶色の元となります。

【胆道がん・胆嚢(のう)癌・胆管がん発がんの原因】
胆嚢がんは女性に比較的多く発生します。
また胆嚢がんの患者さんの多くは胆石をもっています。
胆石による慢性的な刺激が胆嚢の細胞をがん化させると考えられています。(胆石をもつ女性の1割に胆嚢がんが発生しています)。

胆管がん原因は、膵液が胆管内に逆流する解剖学的な異常を伴うことが多く、膵液などの化学的刺激が関与していると考えられます。

胆管がんは胆管の内側の粘膜から発生し、多くは浸潤性発育といって周りの組織にしみこむように拡がることが多くなります。

またがん細胞が胆管の粘膜層ではなくその下の組織に浸潤することも多くみられます。
他に胆管の管の内側に盛り上がるようにして大きくなることもあり、腫瘍としての塊を作らない場合が多いので画像診断が難しく、発見されたときにはがんが進行していて末期がんという事が珍しくありません。

胆道癌(胆嚢癌と胆管癌)の発生は年々増加してきており、1年に約23000人が胆道がんを発症しています。
日本は、世界的にみて頻度が高く、胆管がんでは男性が多く、胆嚢がんは女性に多いことが分かっています。
胆道がんの死亡率は、年々増加しており、発生率は年齢に比例し高くなっています。

早期発見による外科手術が唯一の治癒の可能性がある治療になるため、早期発見を行えるように努力が続けられています。

がんの知識と情報「発がん(癌)の原因はなにか?
親電子性物質は、環境ストレスを高める発癌物質です
がん(癌)のイニシエーター 慢性炎症」を参照ください。

【胆道がん・胆嚢(のう)癌・胆管がんの症状】

黄疸:胆道がんの最も多い症状は黄疸です。
胆道は胆汁の通り道なので、胆道にできたがんは胆道を閉塞し、胆汁は流れにくくなります。
するとがんによる閉塞部位より上流測の胆管は胆汁により拡張し、やがて行き場のなくなった胆汁は胆管から血管に逆流します。
そのため胆汁中のビリルビン(黄色いもと)が血液中に増加し、目や皮膚に黄染し、黄疸(閉塞性黄疸)を発症します。
胆嚢の場合は、がんが胆管に浸潤することにより胆管閉塞を起こし、黄疸が生じます

発熱:うっ滞した胆汁に細菌が感染すれば発熱を伴います。

濃い茶褐色の尿:血液中のビリルビン値が上昇すると、尿から排泄されるようになります。従って尿は茶色くなったり、濃くなったりします。

白色便:通常、胆道を流れる胆汁は十二指腸乳頭をへて十二指腸に注ぎ、食物と混ざり、その後に消化されます。

便が黄色くなるのはこの胆汁のためです。 従って胆管が閉塞して胆汁が流れなくなると便は白くなります。

かゆみ:黄疸が高度となると、皮膚症状としてのかゆみ(掻痒感)が出現します。

疼痛(痛み):がんの拡がりが高度になると、周囲の神経に浸潤し、痛みを伴います。
まれに骨に転移を来たし、骨に痛みを感じることもあります。

全身倦怠感:癌による肝障害のために全身倦怠感が生じることがあります。
また、一般にがんの進行に伴い全身倦怠感が発症します。

食欲低下:特に黄疸が高度の場合には食欲不振が多く見られます。

腫瘤触知:胆管がんや胆嚢がんで胆嚢管が閉塞すると、右腹部に腫大した胆嚢を触れることがあります。
同時に胆嚢炎を起こし、痛みを生じることもありますが、がんの初期ではほとんど症状がなく、検診の対外式超音波などにより偶然発見されることが多いようです。
進行したがんの場合には腫瘍そのものを正中から右腹部に触れることがあります。

胆道がん・胆嚢(のう)癌・胆管がんの検査と診断

胆道がん・胆嚢癌・胆管がんは自覚症状があまりないため早期発見は難しいのですが、最近は診断技術の進歩により以前と比較して早期発見ができるようになってきました。

【血液検査】
以下に胆管がん(癌)と胆嚢がん(癌)の検査に使用される血液検査と基準値を示します。 基準値は施設によって基準値が異なりますので詳しくは検査機関にお問合せ下さい。
また、これらの数値は胆道がん以外の病気でも高くなることがありますので、目安としてお考え下さい。

ビリルビン(Bil) 基準値 0.2-1.1mg/dl (胆嚢癌・胆管癌の検査)
直接ビリルビンは胆汁酸、レシチンなどと結合して胆汁を形成し、 肝臓から胆管、胆嚢を経て十二指腸に排出されます。
ビリルビンが排泄される間に異常があるとビリルビンの数値が高くなります。
胆嚢がん(癌)や胆管がん(癌)で黄疸症状が出る場合にはこの数値が高くなります。

アルカリホスファターゼ(ALP) 基準値 100-325IU/l (胆嚢癌・胆管癌の検査)
アルカリフォスファターゼ(ALP)は生体の細胞膜に広く分布し、アルカリ側のpHでさまざまなリン酸化合物を分解する酵素です。
胆汁を介して肝臓から排出されるので胆汁の流出障害を検出するのに重要な検査になります。
また骨代謝系の疾患などでも高値になります。
胆嚢がん(癌)や胆管がん(癌)で胆汁の流出障害がある場合にはこの数値が高くなります。

CA19-9 基準値 37 U/ml以下 (胆嚢がん・胆管がんの腫瘍マーカー)
CA19-9は膵癌、胆道がん(胆嚢がん・胆管がん)を始めとする各種消化器癌患者血中に高頻度かつ高濃度に検出され、 優れた腫瘍マーカーとしてその臨床的評価が確立しており、最もよく測定される腫瘍マーカーの一つです。

CEA 基準値 5.0ng/ml以下 (胆嚢がん・胆管がんの腫瘍マーカー)
CEAは大腸がん(癌)をはじめとする消化器がん(癌)、胆道がん(胆嚢がん・胆管がん)、膵がん(癌)、肺がん(癌)などのさまざまな臓器由来のがん(癌)に幅広く出現するため、 その診断補助および術後・治療後の経過観察の指標として有用性が認められています。

【画像診断】
胆道がん・胆嚢癌・胆管がんは胃がんや大腸がんなどのように消化管の内側にできるがんとは異なるため直接がんを見つけることはできません。
そのためがんを正確に描出し診断することは容易ではありません。
しかし最近の画像診断技術の進歩によって、 見つかりにくい胆管がんや胆嚢がんでも早期に発見し、拡がり具合をかなり正確に診断できるようになってきました。

超音波検査(エコー検査)(胆嚢がん・胆管がんの超音波検査)
胆管や胆嚢の異常がすぐ分かるため胆道がん(胆嚢がんや胆管がん)が疑われる場合に行われる画像検査としては最初に行われる検査になります。

胆管が閉塞して起こる閉塞性黄疸かどうかの判断にとても有用です。
閉塞性黄疸が起こっている場合には手術が必要になります。
苦痛も全くなく、すぐに検査結果がわかります。
胆管がんでは、閉塞性黄疸を伴うことが多いので、超音波検査は最初に行われるべき検査です。

CT検査(胆嚢癌・胆管癌のCT検査)
CT検査(CTスキャン)はX線を用いていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って 非常に鮮明な画像を得ることができます。
超音波検査で調べきれなかった場合でも胆嚢がん(胆嚢癌)や胆管がん(胆管癌)を見つけることができる場合があります。

MRI検査(胆嚢癌・胆管癌のMRI検査)
MRI検査は磁場を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査です。
放射線の被曝がなく超音波検査では見分けの付きにくい胆嚢がん(胆嚢癌)や胆管がん(胆管癌)でもMRI検査で診断できる場合があります。

内視鏡的逆行性胆管膵管造影-ERCP検査
胆管と膵管に造影剤を入れてX線撮影する検査で、内視鏡を十二指腸まで挿入して 胆管と膵管の共通な出口になっている十二指腸乳頭に細い管を差し込んで造影剤を入れます。

鮮明な画像を得ることができ、がんの存在部位が正確に診断可能です。
主に腫瘍で閉塞している部位より下流測の胆管像がえられます。
下記のPTCと併用することで、狭窄(きょうさく)・閉塞部位についてより詳しい情報が得られます。

経皮経肝胆管造影-PTC検査
皮膚の上から肝臓を経て上部胆管に針を刺し、造影剤を注入して胆管のX線撮影を行う検査です。
胆管の狭窄や閉塞の様子を詳しく知ることができます。
腫瘍の存在部位や拡がりの診断に有用です。

経皮経肝胆道ドレナージ術(PTCD)
検査を行う際には、黄疸の治療として下に流れなくなった胆汁を身体の外に出す処置をすることが普通です。
太くなった胆管に管を挿入して留置しておくと詰まっていた胆汁が体外に流れ出していくため黄疸が解消されるのです。
この方法を経皮経肝胆道ドレナージ術(PTCD)とよびます。

取り出した胆汁から癌細胞の有無を調べることで癌の確定診断ができます。

経皮経肝胆道鏡検査-PTCS検査
経皮経肝胆道ドレナージ術を行った際の管を拡張して胆道鏡を挿入し胆管の粘膜を観察したり、 その小さな組織片を採取し、腫瘍の拡がりをより詳しく調べる方法です。

血管造影検査(胆嚢癌・胆管癌のMRI検査)
血管造影検査は、足の付け根の動脈から細い管を挿入して造影剤を注入し、胆道につながる血管を映しだす検査です。
胆道の血管の状態、血流の状態を見ることでがんの診断や拡がり具合を判断します。

がん治療の知識と情報の「がん(癌)診断と病期(ステージ)診断に行われる検査の種類と内容」参照

□胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの病期(ステージ)診断と治療法


胆道がんの病期(ステージ)診断は、胆嚢がんと胆管がんに分かれます。

胆嚢がん
Ⅰ期   がんが胆嚢内に留まっている状態。リンパ節への転移や肝臓内への浸潤、 胆管への浸潤などが無い状態です。

Ⅱ期   がんが胆嚢の周囲にわずかに拡がっている状態で、胆嚢に最も近い第一群とよばれるリンパ節転移があるか、肝臓または胆管への浸潤がわずかに疑われるような状態であればⅡ期になります。

Ⅲ期   がんが胆嚢の外に明らかに出ている、二群~三群のリンパ節転移がある、肝臓や胆管への浸潤が明らかにある、のいずれかの状態であればⅢ期になります。

Ⅳ期   がんが胆嚢の外の他の臓器に浸潤している、第四群リンパ節といって一番 遠いリンパ節まで転移がある、肝臓や胆管への浸潤がかなり進んでいるこれらの一つでも当てはまればⅣ期になります。
また、腹膜転移、肝臓転移が少しでもあればⅣ期と判断します。

胆のうがんの治療は、手術が原則です。胆のうがんはI期の早期がんであれば胆のうを摘出するだけでほぼ根治が得られますが、II期以上では胆のう以外の臓器を合併した切除が必要となり、IV期では切除によっても予後の改善が認められないため、化学療法や放射線療法の適応となります。

胆管がん
Ⅰ期   がんが胆管の中だけにとどまっている状態です。

Ⅱ期   胆管と隣り合う臓器に拡がっている事が疑われるか、胆管の近傍のリンパ節に転移をしている状態です。

Ⅲ期   胆管と隣り合う臓器(膵臓、肝臓、十二指腸、胆嚢など)に浸潤して拡がっているが、その範囲が近傍にとどまっている状態、または、Ⅱ期よりも遠いリンパ節に転移をしている状態です。

Ⅳ期   Ⅲ期より遠くまで浸潤していたり、肝臓へ転移していたり、腹部の中にがん細が拡がる腹膜播種がある状態です。

Ⅰ期、Ⅱ期は外科療法法行います。
Ⅲ期は、可能ならば外科療法を行います。
病巣の広がりが大きく、外科療法では病巣の除去が不完全な場合は、外科療法と放射線療法を組み合わせることもあります。
種々の理由により切除が不可能な場合は、放射線療法や化学療法を単独で、または組み合わせて行います。
Ⅳ期は、化学療法が中心となりますが、症状改善のために放射線療法が有用なこともあります。

【治療法の選択について】
前述したように胆管がんの領域は、まだ標準的な診断・治療が確立しておらず、ある施設では手術可能な場合が別の施設では手術の対象とならないとされることも珍しくありません。
特に、肝臓の入口近く(肝門部)にできた胆管がんは、一般的には外科切除は困難とされており、最初に診察した医師の判断が重要になります。
胆管がんに対して有効といえる治療法は外科切除をおいて他にないのが現状ですから、胆管がん、胆嚢がんと診断されたら、手術の可能性について専門医に必ず相談するようにして下さい。

【胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの生存率】
手術でがんがとりきれていると判定された場合の5年生存率は40~50%ぐらいです。
また、顕微鏡で見たレベルで少し残っている場合でも5年生存率は10~20%です。今のところ、放射線療法や化学療法では完全な治癒は望めません。

胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの治療をはじめるにあたり

胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 最終的な治療方法を患者さんが主体となって決定する時代になりつつあります。

胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの治療をはじめるにあたり「がん(癌)治療の知識と情報」に詳しくまとめましたので参考にしてください。

また医療の進歩とともに治療方法も多様化してきており、 医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンドオピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームドコンセント」と「セカンドオピニオン」をご覧下さい。

胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの治療

【胆嚢癌(胆のうがん)の外科療法】
胆嚢癌(胆のうがん)の治療-単純胆嚢摘出術

がんが胆嚢の粘膜内にとどまっているような早期がんで行うことができる手術です。
この手術が適応となる早期胆嚢がん(胆嚢癌)であれば90%以上が完治します。

胆嚢がん(胆嚢癌)がある程度進行すると胆嚢の壁を破ってリンパ節や隣接した肝臓や十二指腸に浸潤していきます。
浸潤の程度、転移先によって手術法が選択されます。


胆嚢癌(胆のうがん)の治療-拡大胆嚢摘出術
胆嚢の周囲にがんがわずかに浸潤している場合に行われる手術です。
胆嚢、胆嚢に接した肝臓の一部、所属リンパ節を一緒に切除します。
通常は、I期またはⅡ期の胆嚢癌(胆のうがん)に対して行われます。

胆嚢癌(胆のうがん)の治療-肝門部切除術
胆嚢の周囲にがんが明らかに浸潤している場合に行われる手術です。
胆嚢、胆管と肝臓の一部、所属リンパ節を一緒に切除する方法です。
肝臓の切除範囲が大きくなり、胆管も切除するため胆汁が流れる通路を再建する必要があります。
通常は、Ⅱ期またはⅢ期の胆嚢がん(胆嚢癌)に対して行われます。

胆嚢癌(胆のうがん)の治療-肝葉切除術
がんがさらに大きく転移している際に行われる手術で、肝臓の右葉(肝全体の60%)を切除する拡大手術です。
リンパ節も第3群や4群まで切除する場合があります。
通常は、Ⅲ期またはIV期の進行した胆嚢癌(胆のうがん)に対して行われます。

胆嚢癌(胆のうがん)の治療-肝膵十二指腸切除術
がんが肝臓だけではなく膵臓や十二指腸にまで拡がっている場合に行われる手術です。
膵臓や十二指腸も切除することになります。
進行した胆嚢癌(胆のうがん)に対して行われます。

【胆管がん(胆管癌)の外科療法】
胆管は肝臓や膵臓、十二指腸の間を縫うように走行しており、周囲には門脈や肝動脈などの重要な血管が走っています。
そのため、がんがどこにあるか、またどの程度まで広がっているかによって、手術の仕方が違ってきます。
手術では胆管とその周囲のリンパ節を含んだ結合組織をまとめて切り取るのが基本です。

胆管がん(胆管癌)の治療-肝門部胆管がんの場合
肝門部胆管は胆管や多くの血管が肝臓に出入りする場所であり非常に複雑な場所になります。この部位にできているがんを切除するためには胆管造影でがんが拡がっている方向を確認し胆管と併せて肝臓の左右どちらか半分を切除することになります。

肝臓は再生能力の非常に高い臓器で通常であれば70%近くを切除してもほぼ元通りの大きさに 戻るため機能的には問題がないと考えられています。
しかし、肝機能が低下している人の場合には大きく 切除してしまった場合に残った肝臓の機能が十分でなく命に関わる事態になることもあります。

そこで、がんの広がりが大きかったり、肝機能が低下している場合には経皮経肝門脈塞栓術という方法をとり左右いずれか残すほうの肝機能を高めてから肝切除を行うことになります。

胆管がん(胆管癌)の治療-中部、下部胆管がんの場合
中部の胆管および下部の胆管にがんが発生した場合には胆管とともに膵臓の一部と十二指腸を含めて切除する肝膵十二指腸切除術が行われます。

がんの浸潤範囲が肝門部胆管から下部胆管まで拡がっている場合には、肝臓と膵臓両方を同時に切除しなくてはならなくなります。
このような手術は腹部手術で最も大きくて手間がかかり、それだけ危険も大きく現時点で安全に行われるとはいえない大変危険な手術になります。
そのため手術治療で得すること(メリット)と手術により命を含めて失われるもの(デメリット)とのバランスを考えた治療法の選択が必要になります。

切除不能な胆道癌はどのようなものか?
肝,肺,腹膜転移,遠隔リンパ節転移は切除不能。

乳頭部癌切除後の予後因子はどのようなものか?
乳頭部癌は胆道癌のなかでも比較的予後良好ですが、消化管の癌に比べるとその予後は不良です。
遠隔転移のない症例では治癒切除をめざすことが最も重要であり、乳頭部癌の多くが根治切除可能です。
乳頭部癌ではリンパ節転移の有無が予後に大きく影響するとの報告が多い。
転移程度と予後とは相関がみられていません。
また,脈管浸潤が高度な症例は予後不良とされます。
神経周囲浸潤も重要な予後因子とする報告もあります。
膵浸潤も重要な進展様式であり,膵浸潤陽性例では陰性例に比べ予後不良です。

がん(癌)治療の知識と情報の「がん手術療法・外科療法」を参照ください。

【胆嚢癌(胆のうがん)の放射線療法】

放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法ですが、 胆嚢がん(胆嚢癌)に対する放射線療法は、一般的にはあまり効果が期待できないといわれています。

しかし、胆管閉塞が改善される可能性があるため胆嚢がん(癌)が原因の黄疸症状の緩和のために行われることがあります。

【胆管がん(胆管癌)-放射線療法】
胆管がんは正常な組織と放射線の感受性それほど変わりません。
そのため、放射線治療の効果はほとんど期待できません。
また、手術の後に放射線照射が行われることがありますが、有効性は実証されていません。

がん(癌)治療の知識と情報の「がん放射線療法」を参照ください。

【胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの化学療法】

切除不能胆道がん・胆嚢癌・胆管がんに化学療法は有効なのか?
全身状態の良好な患者には化学療法の有用性が期待できる可能性があります。
しかし、化学療法が生存期間の延長に有用かどうかは、無治療(支持療法)との比較試験による検証が必要であります。

全身状態の低下例(PS 2,3)や減黄不良例などでは化学療法の利益は少なく、化学療法は慎重に考慮すべきです。
このような患者さんでは、疼痛コントロール、閉塞性黄疸に対する胆管内ステントの留置などQOLの維持を目指した症状緩和治療を行うべきと考えられます。

切除不能進行胆道癌に対する化学療法は、塩酸ゲムシタビンまたはテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤 (TS-1) の有用性が期待できる可能性があります。
奏効率35 %、MST(生存期間中央値) 9.4ヵ月と良好な治療成績が報告され、2007年8月、胆道癌に保険適応が承認されました。

胆道がん・胆嚢癌・胆管がんの化学療法は、全身状態の改善を目指した治療として行い、全身状態が改善した時点で化学療法の実施を考慮することが勧められます。

胆道癌化学療法の臨床試験や治療成績の評価は、疾患ごとに行うのが理想ですが、それぞれの患者数は少ないので疾患ごとの解析は困難です。
したがって、化学療法の治療成績を評価するためには、適切な前層別による多数例のRCT(ランダム化比較試験)が必要です。

5-FU + doxorubicin + mitomycin C (FAM)と5-FU単剤、あるいはFAMとバイパス術などの姑息手術とが比較されています。
これらのRCT(ランダム化比較試験)ではいずれも有意差は認められておらず、標準的治療法は確立していません。
(参考:がん診療ガイドラインより)

がん(癌)治療の知識と情報の「がん三大療法(手術療法、放射線療法、化学(薬物)療法)の治療効果と限界」「がん治療法を選択するに際してのアドバイス」を参照ください。

強力な化学療法(抗がん剤)/放射線療法の副作用対策
強力な化学療法や放射線療法を行えば当然副作用も強く、白血球の減少による感染症、血小板の減少による出血などがおこりやすくなります。
白血球や赤血球、血小板などが低下することを骨髄毒性(骨髄抑制)といいます。

骨髄抑制により身の回りを清潔に保ちウイルスや細菌などの感染を予防する必要があります。
また免疫の低下により帯状疱疹もできやすく、しかも悪化しやすくなります。

治療中は規則正しい生活を送り、免疫力を維持すること、および骨髄抑制からできるだけ早く回復するよう心がけが必要となります。

抗がん剤治療の副作用を軽減し、全身状態の改善、QOL(生活の質)を維持・向上、治癒を目指した治療について関心がある方は胆道がん・胆嚢癌・胆管がん治療の無料相談よりお問い合わせ下さい。

癌(がん)の何が生命を脅かすのか

癌(がん)関連遺伝子(癌遺伝子と癌抑制遺伝子)という遺伝子群の遺伝子の変異(2個~10個)が遺伝子産物(変異タンパク質)を産生します。

遺伝子産物(変異タンパク質)は生体の生命維持に重大な支障を与え、多臓器不全や身体の衰弱を招きます。
遺伝子産物(変異タンパク質)こそ癌(がん)が生命を脅かす元なのです。

がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)の生体に対する影響

がん化した細胞の種類や発生した部位により産生される物質も異なり、がんの病態や悪性度が規定されます。

また、同じ腫瘍内にあるがん細胞でも、クローン増殖(転写)するがん細胞の増殖スピードが早く、悪性度が高い、そして同じ腫瘍内に多くのクローンが混在していると考えられます。
抗癌剤等の薬剤治療により、クローンが死滅しても別のクローンが特別な物質(薬剤耐久性遺伝子産物(薬剤治療が効かなくなる))を産生し、薬剤や免疫(免疫回避機構)に依る治療等からすり抜ける術を獲得します。

がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)は細胞内に産生される物質と細胞外へ産生される物質があり、細胞内にはシグナル伝達関連タンパク質、細胞外には増殖因子、癌胎児性タンパク質(CEA、AFP)、酵素、ホルモン、サイトカイン等です。

この様な事に依り、がん細胞が無知秩序で抑制不能な細胞増殖や転移、がん細胞のアポトーシス抑制(がん細胞の不死化)やがん周囲の血管新生等の能力を獲得します。

生体に対しては、全身の代謝異常、消化器機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)、炎症誘導、発熱、悪液質(食欲低下、体重減少)、高カルシウム血症等、腫瘍随伴症候群と呼ばれる癌(がん)が産生した物質が血流に入って体内を循環する事で起こる症候群、特に病期(ステージ)の進んだ末期癌に多く見られます。

癌(がん)を克服するには次の様なことが行われなければなりません

「抗炎症」「変異物質の抑制」「免疫細胞の活性」「癌細胞の死滅」「血液の改善」「クローン阻止」「活性酸素の消去」「代謝異常の改善」等を総合的に行わなければ癌(がん)克服の道筋は見えないのです。

漢方医学療法は、これら問題に対し学術的に裏付けられる療法なのです。
漢方医学療法に関心がある方は胆道がん・胆嚢癌・胆管がん治療の無料相談よりお問い合わせ下さい。